カレッジマネジメント Vol.174 May-Jun.2012
変わる高校現場
リクルートが行う調査データ、国内外の先進事例、人材市場、専門家の解説などにより、「大学経営のサポート誌」としてタイムリーなテーマを発信しています。
編集長が語る 特集の見どころ
高校が動いている。大学改革が声高に叫ばれるなか,この10数年,少しずつではあるが確実に高校は変化を遂げている。高校の種類は多様化し,総合学科が生まれ,職業高校は専門高校になり,ひとことで高校といっても十把一絡げでは扱えない状況になっている。
高校は,大学より少子化の影響を一足早く受け,高校生の数は,1990年に比べて約3分の2に減少している。高校の数も約400校減少している。高校生の数が減少する一方,大学進学率は上昇し,大学入学者の「質の問題」に大きな影響を与えている。
また近年,学生募集強化に伴う高校接点強化策として,入試課職員だけでなく,大学教員が高校訪問する機会も増えてきた。しかし,高校側からは,高校現場の変化や課題を把握しないまま,昔のイメージで高校訪問し,一方的に大学のことを話して帰っていく先生も少なくないという有り難くない声も挙がっている。
高大連携も大きな課題だ。高大連携という言葉はよく耳にするが,その実態はなかなかわかりづらいのが現状である。「高校教育から大学教育への移行」をスムーズにするため,入学者選抜だけでなく,初年次教育との接続,学生自身のキャリアデザインの接続といった「高大接続」の観点が必要になってきている。
こうしてみると,高校の動向は大学にとって看過できないものになっている。「生きる力をはぐくむ」という基本理念を実現するために,詰め込み学習からの脱却を目指し「ゆとり教育」と呼ばれた学習指導要領は,学力低下との関連性が問題視された。これに対し,ゆとり脱却と言われる新学習指導要領は,生きる力をはぐくむために「確かな学力」を身につけるものとして順次導入され,2013年度に高校入学する生徒からは全面実施となる。そうした中,2011年11月には,中央教育審議会初等中等分科会の下に「高等学校教育部会」が設けられ,高校改革に関して積極的な議論が交わされている。
そこで,今回の特集では,改めてこの10数年を振り返り,整理を行うと共に,高大連携の現場をリポートした。また,高校の改革事例として,キャリア教育を重視する総合高校,進学校を目指す専門高校,グローバル化に対応した普通科高校を取材した。こうした高校現場の情報が,より良い形での高大接続に結びつけば幸甚である。
特集 変わる高校現場
事例[1] 総合学科高校 神奈川県立 横浜清陵総合高校
事例[2] 専門高校 東京都立 多摩科学技術高校
事例[3] 普通科高校 大阪府立 和泉高校
リポート
報告
全国高等学校PTA連合会・小社合同調査
第5回「高校生と保護者の進路に関する意識調査」結果より
保護者にとっての重要情報は「進学費用」「将来の職業との関連」 角田浩子