カレッジマネジメント Vol.182  Sep.-Oct.2013

カレッジマネジメント Vol.182 Sep.-Oct.2013

進学ブランド力調査2013

リクルートが行う調査データ、国内外の先進事例、人材市場、専門家の解説などにより、「大学経営のサポート誌」としてタイムリーなテーマを発信しています。

編集長が語る 特集の見どころ

 2008年に調査方法を現在の基準に統一してから、この『高校生から見た進学ブランド力調査』も6年目を迎えた。この調査は、3年生になったばかりの大学進学を希望する高校生に各大学の知名度、興味度、志願度を聞くとともに、どのようなイメージを持っているかを聞くものである。夏休みを終え、模試の結果などが出てきたら、また異なる結果になると思うが、そういった意味においても受験生がわりと純粋に考えている志願状況やイメージに近いものになっていると思う。

昨今は、オープンキャンパスへの参加時期が早まり、2年生での参加も6割超となっている(進学総研調べ)。そのため、志願したい大学についてのフリーコメントにも「オープンキャンパスに参加して良かったから」という記述が目についた。

 志願度がマスコミで取り上げられることが多いが、実は重要なのはイメージである。ブランドとは、『顧客が頭の中に浮かべるイメージの総和』だと言われている。各大学は、常に「うちの大学はこんな大学だ」とメッセージを発信している。しかし、肝心の高校生からどのようにみられているのかは意外に分かっていないものである。さらに、大学のイメージとは、世代によって全く異なっている。保護者世代と高校生では、全く異なるイメージを持たれている大学も多い。

 今年の調査結果を一言で表すとすれば、学部・学科の新設、大学の統合、キャンパス移転、入試改革等、何らかの改革を行っている大学が、各エリアとも順位を上げていることだ。関東地区では、2013年より文系学部を青山キャンパスに統合した青山学院大学は、志願度で5位から3位にアップするとともに、イメージ項目の「校風や雰囲気が良い」で1位、「おしゃれな」では関東のみならず、東海地区でも1位になった。東海地区では、2013年に常葉学園大学、浜松大学、富士常葉大学を統合した常葉大学が、一気に順位を上げた。関西地区では、近大マグロで理系のイメージを高め、女子募集戦略を強化し、2014年度からWebによる出願「近大エコ出願」に全面移行する近畿大学も順位を上げている。こうした、大学の改革が、高校生の目に見えるような形で、うまく伝わっているかどうかが、志願度を高める一つのポイントになっているようだ。せっかく改革しても、それが伝わらないと意味がない。そういう意味では、各大学が力を入れて改革を推進している国際化について、高校生がイメージする大学の上位は難関校と外国語大学となっており、高校生から見ると「グローバル化=語学力(外国語)」となっているようだ。

 関東地区で2009年から志願度トップを守る明治大学が、今年はついに男子、女子、文系全体、理系全体と調査上の全セグメントで1位となった。キャンパス、入試、学部再編等、中長期的に改革を推進し、先ごろ国際大学を系列法人化している。また、いち早く取り組んだ女子学生獲得に向けた広報戦略も志願度アップに奏功していそうである。まさに、ブランド構築は1日でならず、ということだろう。