カレッジマネジメント Vol.188 Sep.-Oct.2014
進学ブランド力調査2014
リクルートが行う調査データ、国内外の先進事例、人材市場、専門家の解説などにより、「大学経営のサポート誌」としてタイムリーなテーマを発信しています。
編集長が語る 特集の見どころ
「高校生に聞いた進学ブランド力調査」は、2008年のリリースから数えて今年で7年目を迎えた。今年の調査結果から見えるポイントとして以下の3つがあげられる。
まず、「私立大学志向の回復の兆し」である。経年で見ると、リーマンショック、東日本大震災を経て、長引く不況の中で国公立志向が強まっていたが、景気の回復基調を受け、関東・関西・東海全てのエリアで私学志向がやや強まっている。
2つ目は、キャンパス移転や学部・学科の新設などの大学改革が、高校生の志願度向上に大きく影響していることである。志願度ランキングを上げた大学の多くはキャンパス移転や学部・学科の新設を行っており、こうした大学改革の努力が高校生の志願度アップに影響を与えている。興味深いのは、キャンパス移転などでは、移転した年度より、移転が発表になった、あるいは移転が報道等でよく取り上げられた年度の方が、効果が出ていることである。つまり移転の実態そのものより、移転することが高校生に伝わっているかどうかの影響の方が大きいのである。これは、様々な大学改革の成果を、どのように高校生に伝えることができるかが重要であることを示している。大学の広報力が問われるポイントである。
3つ目は、この6年間で「理高文低」と「資格志向」が進んだということである。2008年と2014年の進学希望分野を比較すると、「法律・政治」「経済・経営・商」といった従来いわゆる“つぶしのきく”と言われた学部の人気が大きく低下する一方、理工系分野は軒並み人気が高まっている。また、資格取得が仕事に直結する「看護」「教育・保育」の人気は、関東・関西・東海いずれも大きく伸びている。
この調査では、志願度の“ランキング”が注目を集めがちである。しかし、重要なのは、各大学が発信しているメッセージが、きちんと高校生に届いているかである。大学は十分に発信している“つもり”でも、高校生がきちんと受け止めているかはまた別問題である。知名度が高いのに、志願度が低いのはなぜか。男子と女子では、志願度やイメージが異なるのはなぜか。地域によってイメージが異なっているのはなぜか。さらには、「国際的な大学」と発信している大学は、そのようなイメージを持たれているだろうか。あるいは、ベンチマーク校と比較してどうなのか。大学が発信しているメッセージが伝わっているどうか、1年に一度検証する一つの手段としてご活用頂けると幸甚である。
特集 進学ブランド力調査2014
事例[1] 上智大学
事例[2] 名城大学
事例[3] 北海道科学大学
報告
高校生価値意識調査2014
シェアハウス型コミュニティ世代 牧田綾子