カレッジマネジメント Vol.204 May-Jun.2017
認証評価 第3サイクルに向けて
リクルートが行う調査データ、国内外の先進事例、人材市場、専門家の解説などにより、「高等教育経営のサポート誌」としてタイムリーなテーマを発信しています。
編集長が語る 特集の見どころ
日本の認証評価制度は、2018年度より第3サイクルを迎える。
第1サイクル終了時に特集した本誌172号「ユニバーサル化時代の大学評価」を読み返してみると、第1サイクルでは、導入期として主に最低基準をクリアできているかどうかの基盤評価に重点を置いた評価が行われていたことが分かる。そのうえで、多くの評価項目への対応による“評価疲れ”が指摘された。そのため、第2サイクルでは、より各大学の達成度に関する評価に重点を置くものに基準が変更され、評価項目も削減された。学生が何を身につけたかを示す学習成果や、教育の質向上のための内部質保証システムの構築といった項目が重視されるようになった。
では、第2サイクルはどうだったのだろうか。大学の状況を俯瞰的に見てみると、大学の数が増加する一方で、私立大学の44%が定員割れとなっている。また、グローバル化により人材が国境を越えて流動する時代になってきた。既に日本ではなく、直接海外の大学に進学する高校生も出てきており、今後さらなる流動化が予測されている。こうしたユニバーサル化、グローバル化が進む中での質保証の仕組みはどうあるべきなのか。また、個々の大学はそれにどのように対応していくべきなのだろうか。
今回の特集では、第3サイクルを迎えるに当たって多面的に質保証のあり方について、考えてみた。まずは、日本の第2サイクルまでの認証評価の取り組みを振り返るとともに、各認証評価機関の第3サイクルに向けての変更点についてご寄稿いただいた。さらに、昨今動きが大きくなっている、国際通用性を保証するための制度的な枠組みや、IRの視点からの質保証についても、整理していただいた。
特に次期認証評価では、内部質保証システムのより一層の充実が問われることになる。すなわち、大学内部で自らの提供する教育の質を確保・保証し、PDCAサイクルによって検証しながら、継続的に改善・向上させていくことが日本の大学全体に強く求められるということである。この点については、今年度より「卒業認定・学位授与の方針」、「教育課程編成・実施の方針」、「入学者受入れの方針」という3つの方針の策定・公表が義務付けられたが、この3つの方針に基づいて内部質保証システムが回っているかどうかが、第3サイクルの大きなポイントになるであろう。事例についても、認証評価で高い評価を受けた大学、国際認証を取得して国際舞台での質保証に取り組む大学、内部質保証と経営戦略を両輪として総合的なマネジメントに取り組む大学を取材した。少しでもこれからの教育の質保証を考える一助となれば幸甚である。
認証評価 第3サイクルに向けて
第3サイクルを迎える認証評価の課題と展望
前田早苗 千葉大学 国際教養学部 教授
学位の国際通用性を保証する三つのアプローチ
高等教育圏・国際協定・国際認証
深堀聰子 国立教育政策研究所 高等教育研究部長
学習成果可視化のための内部質保証システムの充実に向けて── IRの果たす役割と日本のIRの課題とは何か
山田礼子 同志社大学社会学部長
大学基準協会による第3期認証評価の変更ポイント
工藤 潤 大学基準協会事務局長 大学評価・研究部長
日本高等教育評価機構の評価基準の考え方と変更ポイント
伊藤敏弘 日本高等教育評価機構 事務局長 兼 評価研究部長
短期大学基準協会の評価基準の考え方と変更ポイント
原田博史 短期大学基準協会第三者評価委員会委員長
CASE 1 中央大学
CASE 2 東京女子大学
CASE 3 立命館アジア太平洋大学
CASE 4 関西学院大学
寄稿
大学入学者選抜に係る新たなルールや調査書・提出書類等の改善に関する検討状況について
橋田 裕 前文部科学省高等教育局 大学振興課大学入試室長
調査報告 高校の進路指導・キャリア教育に関する調査2016
高校の進路指導の「現状」と「変化の兆し」
山下真司 リクルート『キャリアガイダンス』編集長
新連載 ダイナミック・アジアⅡ[1]
アジア高等教育圏のダイナミクス
杉村美紀 上智大学 グローバル化推進担当副学長 総合人間科学部教育学科教授
カラーグラビア 新世紀のキャンパス
TOP INTERVIEW
書評
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