神田キャンパス10号館 専修大学140年記念館/専修大学

専修大学神田キャンパス10号館 専修大学140年記念館


神田キャンパスと10号館

 専修大学神田キャンパスは、千代田区神田神保町3丁目に位置しており、校歌冒頭の歌詞にも「宮城の北」と謳われている。10号館は、本学創立140周年(2020年)を記念して、既存の校舎群に隣接した新校地に建設された。この建物は、地上16階建ての高層校舎で、九段地区との境を流れる日本橋川の神田神保町側にあり、靖国通りにも面していることから、地下鉄2駅(神保町と九段下)からのアクセスも良い。

10号館によって実現する教育・研究上のシナジー

 10号館新築の主目的は、東京都心に位置する神田キャンパスでの教育力・研究力を強化するためである。神田キャンパスには、法学部・大学院法学研究科・法科大学院そして二部3 学部(経済・法・商)が配置されていたが、この新校舎の建設に合わせて、商学部(マーケティング学科・会計学科)・大学院商学研究科を川崎市の生田キャンパスから移転させて、教育・研究面のシナジー効果を図ることとした。法学部と商学部では、法曹、公認会計士、税理士といった難関国家資格取得を目指す学生の増加が続いている。このような状況を踏まえて、両者でカリキュラムの相互乗り入れも行いつつ、彼らのキャリア形成へのサポート体制を強化する。また商学部マーケティング学科には、川崎市多摩区で実績を積んでいる「地域や商店街の活性化」に強い関心を持つ教員が多く、今後は、神田エリアへの貢献も期待される。さらに国際コミュニケーション学部(日本語学科・異文化コミュニケーション学科)を新設した。この新学部は、法学部と商学部とのカリキュラム上の連携も積極的に行い、コミュニケーション能力に秀でた国際的教養人を育成するとともに神田キャンパスの国際化を推進する。一方、二部3 学部の学生募集は、すでに2019 年度を以て終了している。

「神田神保町カルチェラタン」創造の拠点としての10号館

 10号館は、教育・研究面で機能するに止まらず、本学が神田神保町という街との共存を図り、その発展に資するための拠点とする。これを「神田神保町カルチェラタン」の創造と位置づける。なぜなら、神田神保町には世界に冠たる古書店街があり、語らうためのカフェをはじめ、学生向けの飲食店、大小の楽器店やスポーツ関連ショップが集積するなど、学生街として発展してきた側面があるからである。10号館に係る「神田神保町カルチェラタン」のキーワードは、森、水、そしてカフェである。校舎の傍らを流れる日本橋川を渡ってキャンパスに入る前庭には、樹木に囲まれたプロムナードを設置した。その中にシンボルツリーとなる桜を植樹し、神田神保町界隈での桜の起点とした。そして、10 号館の1階は、吹き抜けを多用したオープンスペースとし、一般の利用も可能なカフェ「SENDAI-Kaffee」を設置し、学生たちの居場所づくりに努めた。3 階には、様々なイベントにも利用可能な「黒門ホール」を設けた。コロナ禍が落ち着けば、こけら落としとして、江戸落語を聞く「黒門ホール寄席」の開催を予定しており一般にも公開する。7階には学生ラウンジ(食堂)を配置したほか、13階・14階の二層には、図書館「Knowledge Base」がある。この図書館の特徴は、図書を可能な限りデジタルベースで配架することで、10号館全体に図書館機能が備わるようにデザインしたことである。15階は、「グローバルフロア」と呼ばれ、少人数教室のほか、海外留学に関する相談窓口や異文化サロンの機能も有する「グローバルコモンズ」が展開される。最上階には、遠望も良い卒業生向けの「鳳サロン」とイベントホール「相馬永胤記念ホール」がある。今後、10号館から発せられる知や文化の発信が、神田神保町での新たな学生街形成に寄与することを願う。


専修大学高層校舎

地上16階(高さ80m)の高層校舎。学生のアクティビティーをガラス張りの外壁越しに街へ発信する。



専修大学神田キャンパス 桜

神田キャンパスの新たなシンボルツリーとなる桜。神保町における新たな名所として期待が高まる。



専修大学 北の丸公園の田安門より10号館

国の重要文化財、北の丸公園の田安門より10号館を望む。



専修大学 SENDAI-Kaffee

落ち着いた雰囲気の「SENDAI-Kaffee」(1階)。地元で人気の喫茶店が出店し、一般の方も利用可能。



専修大学 黒門ホール

専修大学の象徴でもある黒門を彷彿させる「黒門ホール」。新たな知の発信拠点として、講演会やシンポジウムなどが開催される。



専修大学 学生ラウンジ

ランチタイムや授業の空き時間を快適に過ごせる「学生ラウンジ」。学生の移動の利便性を考え、校舎中央階に設けた。



専修大学 校舎全体

階段や廊下、ホールなど、各フロアに椅子やホワイトボードを設置。校舎全体をラーニング・コモンズにしている。



専修大学 グローバルフロア

開放的な空間が広がる「グローバルフロア」。国際交流や留学に関する情報交換も可能な異文化サロンを展開。



専修大学 Knowledge Base

二層構造の新図書館「Knowledge Base」。13階は情報検索やグループ学習、14階は静ひつな個別学習エリア。



専修大学 鳳サロン

日本武道館や東京スカイツリーを一望できる「鳳サロン」。装飾は和を意識したモダンな造り となっている。



専修大学 相馬永胤記念ホール

創立者の一人の名を冠した最上階の「相馬永胤記念ホール」は、レセプションや企画展示など多様に使用できる。



専修大学 アクセス

靖国通りに面した10号館は、九段下駅より徒歩1分、神保町駅より徒歩3分とアクセスも抜群。



(文/佐々木重人(専修大学長))



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