新世紀のキャンパス S1号館/周南公立大学
正面玄関を入ると5階までの吹き抜け。屋上からの採光が入る。
1階から2階は、地域にも開放されたコミュニケーションコモンズ「ウェルビーイングスクエア」となっている
周南公立大学の前身である徳山大学は、地元自治体、産業界及び教育界等からの要望を受け、1971年に開学した。2022年3月まで山口県東部地区唯一の4年制大学として歩み続け、これまでに1万7000名を超える卒業生を輩出している。
2022年4月、設置者を学校法人徳山教育財団から、周南市を設立団体とする公立大学法人周南公立大学へと変更して、新たに周南公立大学となった。2024年4月には、より地域が求める人材の養成や教育研究力の向上によるまちづくりのシンクタンク機能強化を図るため、従前の学部を経済経営学部、人間健康科学部、情報科学部の3学部5学科に再編し、これを機に、新校舎S1号館を建設したものである。
「Shin」(新)と「Shunan」(周南)をかけてS1号館と名付けたこの新校舎は、正門を入って真正面に位置する、地上5階建て校舎であり、本学の新たなスタートのシンボルとなっている。
軒の広がりが人を優しく迎えるデザインとなっており、ガラスで囲われた低層と吹き抜けが開放感を与え、1階から2階は、地域にも開放されたコミュニケーションコモンズ「ウェルビーイングスクエア」、3階より上階は、講義室、実習室、研究室等となっている。
講義室は、3階に4室、4階に3室配置している。可動式パーテーションにより、受講人数の規模に合わせた大きさに変更することが可能で、アクティブラーニングやICTを導入した多様な教育方法に対応できる。
特徴的なのが、コミュニケーションコモンズ「ウェルビーイングスクエア」である。1階のカフェは学生自身が運営し、市内の飲食業者から助言を受けながらメニュー開発から製造、提供、経営全般に取り組んでいる。本学学生が、飲食をしながら課題に取り組み、友人と空きコマの時間を過ごすだけでなく、大学を訪れる事業者の打ち合せや、近隣住民の憩いの場としてもにぎわっている。
中2階には、本学の教育理念でもある「ウェルビーイング」の理解や行動を広めるため、関連の書籍やアートを壁面書架に飾っているほか、100インチモニターを設置しており、ゼミや会議、ワークショップ等で利用されることも多い。
2階は学生の多様な学修を支援する場として、大型テーブル席、ソファ席、パーテーションで仕切られたブース席等を用意し、各々が好きな場所で好きな時間を楽しむことができる人気のスポットとなっている。
2つ目の特徴が、新設された看護学科のカリキュラムにおいて使用される多様なシミュレーション教育が可能な各実習室である。リアルな看護場面を体験的に学べるようシナリオや模擬患者やシミュレーターを活用した教育方法に対応し、臨床系実習室A(主にセクシュアルリプロダクティブ看護学領域、小児看護学領域で使用)や臨床系実習室B(主に基礎看護学領域、成人看護学領域、高齢者看護学領域で使用)、地域・在宅実習室、シミュレーション室(全ての看護学領域の多様なシミュレーション教育で使用)を設置するほか、ガラス張りのディブリーフィングルームは室外からも学びの様子をうかがうことができるオープンな空間となっている。
また、棟内に併設の地域健康交流研究センターでは、地域との連携協働により、地域の健康に関する課題解決に向けた研究並びに実践活動等を通じて、あらゆる健康状態にある人が、生涯、その人らしくより豊かな健康生活を実現していくことに寄与することを目的として事業展開し、企画した研修会や後援会等のイベントには、地域の医療従事者だけでなく多くの市民も参加している。
今後も、本学学生、教職員はもちろんのこと、市民の方にも利用いただくことで、地域貢献大学を謳う本学のシンボルとして地域に愛される存在になってほしいと期待している。
(文/周南公立大学 撮影/クリエイティブアイズ 川村剛弘・周南公立大学)
正門を入って真正面に位置する、本学の新しいシンボルS1号館
キャンパスから周南市街地を望む
ウェルビーイングスクエア中2階。貸し切り予約可能で、イベント利用も多い
ウェルビーイングスクエア1階。カフェは学生が運営している
学生だけでなく、近隣住民の憩いの場ともなっている
ウェルビーイングスクエア2階。学生の多様な学びに対応
臨床系実習室B館①
臨床系実習室B館②
シミュレーション室
講義室。可動式パーテーションで仕切ることもできる
ガラス張りのディブリーフィングルーム
学生学修ラウンジ。瀬戸内の絶景を望むことができる
3階廊下から吹き抜け
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