キャリアガイダンス vol.432 2020.5
変わる? 変わらない?「未来の学校は“今日”の中にある」
~中学校の現場から~「それは本当に子どものため?」から始まる学校改革/~企業の現場から~「本業転換」で未来を切り拓いた企業に見る改革の本質/【実践事例レポート】先生たちの思いを重ね合わせ、新たなチャレンジに向かう学校/教育こそが、日本の未来を変えていく~信念をもち行動し続ける トップランナー5人からのメッセージ~/2030年の私、そして学校は?~すでに始まっている未来の数々~
編集長が語る 特集の見どころ
教育改革の掛け声の下、数年来に渡り検討されてきた「大学入学共通テスト」。英語民間試験の活用、そして国語・数学の記述式問題の見送りは、学校現場に大きな衝撃が走りました。加えて、主体性評価など多様化する各大学の入学者選抜に戸惑う声も聞こえてきます。来年1月の実施に向けたカウントダウンが進むにつれて膨らむ不安、そして漂う停滞感や閉塞感。この状況をどう受け止め、学校として取り組んでいけばよいのでしょうか?
昨年夏、初等中等教育分科会に「新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ」が設置されました。その諮問文書の冒頭に次の一文が綴られています。
「このような急激な社会的な変化が進む中で、子供たちが変化を前向きに受け止め、豊かな創造性を備え持続可能な社会の創り手として、予測不可能な未来社会を自立的に生き、社会の形成に参画するための資質・能力を一層確実に育成することが求められており,それに対応し、学校教育も変化していかなければなりません。」
Society5.0 ともいわれる新たな時代を生きる生徒たちに必要な資質・能力を育んでいくために、教育活動のアップデートが問われています。と同時に、「なぜ」「何のために」を学校と社会が一体となって考える機会をもつことが求められているようにも感じています。前年踏襲という組織風土が根強いのは、学校も企業も同じです。しかしながら、変化を機会として捉え、新たなチャレンジに取り組む組織には「ビジョン」「対話」「協働」「失敗を恐れず前に踏み出す勇気」、そして「社会は変えられるというワクワクした思い」があります。
本特集は、中学校の学校改革、そして企業の組織改革からのアドバイスを踏まえながら、先生方の思いを重ね合わせた学校づくりにどう取り組んでいくか、考えるための補助線にしていただければと思い企画しました。そして「教育こそが日本の未来を変えていく」という熱量にあふれる方々からのエールをお届けするとともに、10年後の学校とは? 教育の姿とは? そして教師の在り方とは? を考えるきっかけにしていただければと思っています。
最後に、今、全世界を震撼させている新型コロナ禍。全国の学校がその対応に追われ、先行きの見えない中で迎えた新年度。戸惑いと不安に包まれている今こそ、そもそも「学校とは」を考えてみませんか。未来の学校の姿は、先生方の思いの中に描かれます。すでに始まっている未来だと思います。
山下 真司(本誌 編集長)
■特集■
変わる? 変わらない?
「未来の学校は“今日”の中にある」
~中学校の現場から~
「それは本当に子どものため?」から始まる学校改革
~企業の現場から~
「本業転換」で未来を切り拓いた企業に見る改革の本質
【実践事例レポート】
先生たちの思いを重ね合わせ、新たなチャレンジに向かう学校
教育こそが、日本の未来を変えていく
~信念をもち行動し続ける トップランナー5人からのメッセージ~
【経産省教育】 浅野大介
(経済産業省 サービス政策課長・教育産業室 室長)
【創造教育】 竹村詠美
(一般社団法人 FutureEdu 代表理事/一般社団法人 Learn by Creation 代表理事)
【地域教育】 山崎 亮
(コミュニティデザイナー、建築家、造園家)
【多様性教育】 日野公三
(明蓬館高校 校長 兼 SNEC総合センター長)
2030年の私、そして学校は?
~すでに始まっている未来の数々~
山本 享 聖学院中学・高校(東京・私立)藤村祐子 虎姫高校(滋賀・県立)
倉本 龍 N高校(広域通信制・私立)
三浦 学 宮城第一高校(宮城・県立)
■連載