進学センサス2013―高校生の進路選択行動を科学する―(カレッジマネジメント Vol.181 Jul.-Aug.2013)

大学進学率が50%を超え、大学ユニバーサル化時代と言われている。さらに、短大や専門学校進学者を含めると、進学率は約80%に達する(過年度卒を含む)。今や高校卒業生のほとんどが進学する時代だ。そうした、高校生の「進路選択行動を科学する」という目的で、1990年代から『リクルート進学センサス』を実施している。

2年に1回実施しているこの調査は、高校を卒業したばかりの時期に、自分の進路選択行動を振り返り、どのように進学校を決めたのかを回答をしてもらうものである。

 特に、この5~6年は日本でも、高校生の進路選択に影響を及ぼすような、大きな変化が起きている。リーマンショック、東日本大震災、長引く不況と家計所得の減少、グローバル化が叫ばれる中での尖閣問題。こうした問題は大人だけでなく、子供たちの進路選択や留学意向などにも、大きな影響を与えている。

 今回は、特にリーマンショック以降2009年、2011年、2013年の高校生の進路選択行動の経年変化を分析した。また、「高校生」あるいは「大学・短大・専門学校」といった校種別といった大きなくくりだけでなく、男子と女子、大都市圏とローカルエリア、文系と理系といったセグメントでどのように進路選択行動が異なるかを分析している。

 さらに、グローバル化が進展する一方、内向きといわれる日本の若者たち。大学に進学することを決めた高校生は、現時点でどのような留学意向を持っているのか。これほどまでに、大人たちが留学の必要性を語っているのに、留学しようと思わない理由は何なのか、何がハードルとなっているのか。そして、高校生はどれくらい大学の国際的な取り組みを重視し、どんなことが国際的な取り組みだと感じているのか。

 高校生の進路選択行動は、高校生自体ではなく、社会環境の変化に大きく左右される。2011年に実施した保護者の調査では、長引く不況と将来不安を反映し、進学時に重視する情報の上位が「入試」から「進学費用」と「将来の職業」に移行した。では、2013年の春、大学・短大・専門学校に進学することを決めた高校生には、どのような変化があったのか。データを追いながら見てみたい。

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リクルート進学総研所長・カレッジマネジメント編集長

小林 浩

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