進学ブランド力調査2016(カレッジマネジメント Vol.200 Sep.-Oct.2016)

リクルート「カレッジマネジメント」が創刊されたのは、1983年7月である。皆様のご支援を受けて、33年間発行を続け、今号で無事200号を迎えることができた。

 創刊号の記事を見ると、現在でも巻頭(表2)の書評をご執筆頂いている潮木先生に「18歳人口の推移と高等教育人口の展望」というテーマで、ご寄稿頂いている。18歳人口は8年後の1992年までは増加するが、ピークを迎えた後、減少に向かう。そうした環境の中で、大学に今後の展望を問う内容だ。今読んでも面白い。今号では、潮木先生にいつもの書評ではなく、当時のご執筆記事を現在の視点で振り返って頂いた。ぜひ、ご一読頂きたい。

 では、18歳人口はその後どうなったのか。1983年当時の予想では、1992年のピークに18歳だった団塊ジュニアのジュニア世代が、今頃もう一度18歳人口のピークを作っているはずであった。しかし、非婚化、少子化により、再度のピークは来ないまま、再び18歳人口の減少フェーズに突入する“2018年問題”を迎えることになる。これから始まる人口減少フェーズについては、残念ながら、今のところ二度と増加に転じる予測はない。

 さらに、大きな社会環境の変化が予測され、様々な未来への展望が示されている。例えば、「2011年にアメリカの小学校に入学した子ども達の65%は、大学卒業後、今は存在していない職業に就く(キャリー・デヴィットソン ニューヨーク市立大学大学院センター教授)」、「今後10〜20年程度で、約47%の仕事が自動化される可能性が高い(マイケル・オズボーン オックスフォード大学准教授)」などである。また、「2014年に450万人であった世界の留学生は、2025年には800万人に拡大する(OECD予測)」など、IT化、グローバル化により、産業構造も変化し、世界の人口動態も変化していく。

 このように、変化が激しく、予測がつかない時代だからこそ、高等教育機関に求められるものも大きくなっていくのではないか。厳しい時代ではある。しかし、だからこそ高等教育機関の出番ではないか。今号では、200号記念号として、オックスフォード大学での7年の経験をもとに、苅谷剛彦教授から海外から見た日本の大学への示唆をご寄稿頂いた。また「トップマネジメント座談会」として、国立・公立・私立の各学長に設置者の枠を超えて、学長の役割と学校経営について忌憚なく語って頂いた。

 答えのない事象に向かって、学び、考え、研究し、そして未来を創っていく。そんな、未来を創造する高等教育機関をカレッジマネジメントは応援し続けるとともに、そこで学ぶ学生達の未来を応援し続けたい。

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リクルート進学総研所長・カレッジマネジメント編集長

小林 浩

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