【TOP INTERVIEW】福岡工業大学の挑戦と成長 天地人の機を捉え新たなステージへ/学校法人福岡工業大学 理事長 大谷忠彦氏


学校法人福岡工業大学 理事長 大谷忠彦氏

学校法人福岡工業大学 理事長 大谷忠彦(おおたに ただひこ)氏
1945年生まれ
1968年 関西学院大学社会学部卒業 株式会社ダイエー入社
1988年 株式会社福岡ダイエーホークス出向 企画室室長
1993年 株式会社福岡ダイエーホークス 取締役編成管理部部長
1996年 学校法人福岡工業大学 入試広報課課長
1997年 学校法人福岡工業大学 事務局長兼入試広報課課長
1997年 学校法人福岡工業大学 評議員
1999年 学校法人福岡工業大学 事務局長(~2011年9月)
2000年 学校法人福岡工業大学 理事
2000年 学校法人福岡工業大学 常務理事 評議員
2021年 学校法人福岡工業大学 理事長

「経営理念」「経営管理システム」に強み

 福岡工業大学は、福岡市に所在し、工、情報工、社会環境の3学部2研究科、学生数約4500人を擁する私立大学です。学園全体では、本学、短期大学部、附属城東高校を合わせた約6500人の学生生徒が一つのキャンパスで学んでいます。

 学園の創始者である桑原玉市が1954年に開設した福岡高等無線電信学校を前身とし、これまで日本の国際競争力を強める理工系人材の育成を使命に、情報、環境、モノづくりの分野で人材を養成してきました。

 1997年より経営理念「For all the students 〜すべての学生生徒のために〜」と、教職員の行動規範「Just Do It!(即実行する)」を掲げています。この経営理念と行動規範をスローガンに、教職員が思いを一つに丁寧な教育と面倒見の良い学生支援を進めてきました。

 同時に「経営管理システム」という仕組み作りと、その定着にも強いこだわりを持ってきました。この仕組みとは、マスタープラン(中期経営計画)とアクションプログラム(行動計画)で、中期計画がまだ義務化されていない時代から取り組み、今では第10次マスタープランとなりました。アクション“プラン”ではなく“プログラム”としたことで、年次目標に向けて誰がいつまでに何をやるかをはっきりさせ、実効性の高い仕組みにしたことが特徴です。

天・地・人を活かした改革の推進

 人口減少で日本全体がシュリンクする中、本学は今まさに天地人(天の時 地の利 人の和)の機を逃さず、成長に向けてアクセルを踏み込もうとしています。

 天の時とは「時の利」であり、理工系人材に対する社会のニーズの高まりという時流の好機にあります。先日も九州経済界の会議の折に、地元大手企業の会長自ら「女性を含めて、理工系人材をもっと輩出してほしい」とのお声がけをいただきました。これは、社会の変化が加速する中で、理工系の専門性を持ち、かつ柔軟に対応できる人材への期待が高まっていることの表れといえるでしょう。こうした社会からの要請に応えるために、本学では、社会で活躍できる「実践型人材」の育成に力を入れてきました。例えば、行政や企業と連携し、地域課題の解決に取り組むPBL(課題解決型学習)等、実践的な学びの機会を積極的に提供しています。

 さらに、2025年度からはディプロマ・ポリシーを全学的に見直し、変化が激しく予測不可能な時代を切り拓く新たな「実践型人材」の育成に注力しています。その中心となる教育システムが「フライト(F-LIghT)」です。「フライト(F-LIghT)」では、学部・学科での専門力と教養力の学びを基盤に、学内の多様な教育プログラムを通じて、「自己成長力」「情報活用力」「課題解決力」という、現代社会に必要とされる3つの力を育んでいきます。

 これらの取り組みの成果として、本学の学生は全国の多くの企業様から高く評価されており、就職実績の向上はもちろん、学生自身の進路への高い満足度にもつながっています。

 次に「地の利」とは、九州が持つ未来への可能性と捉えます。まず注目しているのが、九州の人口動態です。全国的に18歳人口が減少する中、九州、特に福岡はその減少幅が比較的緩やかです。さらに、TSMCの熊本進出を契機に半導体関連企業をはじめ、各企業や大学が「新生シリコンアイランド九州」として団結し、九州はその存在感を急速に高めています。また、福岡市が掲げる「国際金融都市構想」によって、外資系フィンテック企業の誘致が進んでいます。これらによって、今後ますます九州における理工系人材のニーズが高まることも本学にとっては追い風になると思っています。

 最後に「人の和」です。本学の最大の強みは教職協働による組織運営にあると思っています。例えば、前述のマスタープランにおいては、その策定から実行に至るまで、教職協働の体制のもとで推進されています。この取り組みは、教職員間で価値観を共有し、組織としてのベクトルを合わせることを目的にしています。このマスタープランは本年度で第10次(27年目)を迎えており、教職協働の姿勢は長年にわたり培われてきた本学の文化・風土として教職員に深く根付き、これにより、本学は強靭かつ柔軟な組織体制を築いています。

長期ビジョンと第10次マスタープラン

 本学が大きく変わるべき時が来たと考え、10年後のあるべき未来像を描いた「長期VISION未来へFIT挑戦と成長~新たなステージへともに歩む~」(2025-2035)を公表し、ゴールに向かう戦略を第10次マスタープランとして策定しました。

 ビジョンでは、「福岡工業大学は、2027年から収容定員4000人以上の『アジア屈指の中規模大学』に発展する」を掲げました。かつて「九州No.1の教育拠点」を標榜してから、それが「日本屈指」へと変わり、就職支援体制等、全国1位(※1)の項目も出てきました。今後は「アジア屈指」に向けて規模を拡大し、新たなステージへ移行します。

 文科省「大学・高専機能強化支援事業」(2025年度)に採択され、2027年4月に工学部先進工学科(仮称、定員460名)とデジタルメディア学部(仮称、定員80名)を設置予定(構想中)です。工学部は現在の4学科制を先進工学科1学科6コース制へと改組します。従前の4つの学問分野(電子情報工学、生命環境化学、知能機械工学、電気工学)に加え、地域ニーズの高い「半導体工学」と「建築デザイン」を新設することで6コースとする予定です。変化が激しく予測不可能な時代において、自身の専門分野のみならず横断的な知識と汎用的能力を有する実践型人材を養成するために、1学科制の中でコース横断科目や他コース開講科目の履修を可能にします。

 デジタルメディア学部は短期大学部から4年制学部への発展的改組です。日本でも数少ない情報系短大として1万2000人を超える卒業生を輩出してきた短期大学部の強みを活かしつつ、既存の情報工学部とは異なるメディア分野における高度な実践型人材を養成・輩出する所存です。

 なお、数理・AIデータサイエンス教育は文理を問わずあらゆる学部の学びの基礎として必要とされる時代です。本学は文系の社会環境学部を含めた全ての学部共通で育成する力の一つに「デジタル力」を掲げています。情報工学部を有する本学だからこそできることであると考えています。

 さらに高大接続の観点から、2026年4月、城東高校の工学科を未来工学科に改組します。高校、大学、大学院と、一気通貫で理工系人材を育てる構想を推進し、選ばれ続ける学園を目指していきます。


(文/能地泰代 撮影/加来和博)



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