変革のドライブとなる組織運営改革(カレッジマネジメント Vol.192 May-Jun.2015)

既に周知の通り昨年6月に「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律」が成立し、この4月から施行されている。文部科学省が出した法律案の概要には、その趣旨として“大学運営における学長のリーダーシップの確立等のガバナンス改革を促進するため、副学長・教授会等の職や組織の規定を見直すとともに、国立大学法人の学長選考の透明化等を図るための措置を講ずる”と記されている。

 大学のガバナンス改革については、既に1998年の大学審議会答申「21世紀の大学像と今後の改善方策について」において「責任ある運営体制の確立」が提言されている。2013年5月に発表された教育再生実行会議第三次提言「これからの大学教育等の在り方について」においても、最終5番目のポイントに「大学のガバナンス改革、財政基盤の確立により経営基盤を強化する」が掲げられており、「上記に述べた提言の実現は、各大学が学内で意思決定し、改革に踏み出すかどうかにかかっています」と記されている。

 この第三次提言では、発表した2013年から2017年までの5年間を「大学改革実行集中期間」としている。2017年とは、18歳人口が再び減少に転じる、いわゆる「2018年問題」の前年である。再び18歳人口の減少フェーズに入る前に、大きな改革を進めようとしているように感じられる。つまり、今回のガバナンス改革は、社会環境が大きく変化する中で、大学改革のスピードをよりアップさせるための要請であると考えられる。

 大学のガバナンス改革の目的が、大学改革を推進するためのものであるとすれば、法律改訂やそれに伴う学内規則の整備は重要だが、これで目的が達せられるわけではない。そもそも、法律を変えなくても、既にスピード感を持って改革を推進している大学も少なくない。大学の改革事例は、毎号小誌でもご紹介している。では、改革を進めることができる大学は、何が違うのか。それは、決して定型的なものではなく、その大学ならではの組織文化、歴史的背景等によって、改革のストーリーは大きく異なっているようである。

 そこで、今回は国立教育政策研究所の「大学の組織運営改革と教職員の在り方に関する研究」を基に、変革のドライブとなる組織運営改革とはいかなるものかの報告を頂くとともに、近年増加している「教教分離」についての可能性と事例をご紹介した。また、篠田先生には、改革推進にふさわしい運営システムをどのように作っていくのかについて、まとめて頂いた。大学という組織において改革を進めるのがいかに難しいか、という話を聞く機会には暇がない。だからこそ、今回の特集が大学の変革を進めるための一助になるのであれば幸甚である。

本誌はこちら

■■■

リクルート進学総研所長・カレッジマネジメント編集長

小林 浩

プロフィールはこちら