新世紀のキャンパス 岡山商科大学 /11号館

11号館外観。SDGsへの対応から3~5階はダブルスキンファサード(二重外皮構造)となっている。
岡山商科大学は、1965年4月、岡山市北区津島京町に設立された。当初は商学部商学科の単科大学として開学したが、1991年に法経学部法学科・経済学科、1995年に大学院修士課程を設置、2005年には商学部、法学部、経済学部の3学部体制となった。2009年には商学部を改組し、経営学部経営学科・商学科を設置して現在に至っている。
岡山商科大学は「地域と呼吸する大学」を掲げ、地域との連携による「実学教育」を重視しており、教育理念にも「社会事象を的確に捉え、分析し、解決する能力を備えた心豊かな人材の育成」と謳っている。
歴史と伝統ある学び舎で多くの学生が実践的な学びを深めていくなか、次の時代、またその次の時代に向けて、「実学教育」に新風を吹き込むため、創立60周年に向けての新校舎建築が計画され、2025年の春に竣工した。
新校舎「11号館」は、地上5階建て、延べ床面積は7800平方メートル。最大の特徴は円を基調とした構造である。1階中央には2階の天井まで吹き抜けとなる大ホール「HUB60(中心、中核+60周年)」を設け、普段は学生の語らいやミーティングの場として、イベント時にはステージや客席を配置し約300名が収容できるホールとしての利用が可能となっている。ホール中央にはシンボルとなる「樹木」が配置されており、建物全体で「若木」が成長し、やがて「大樹」となるという思想が込められている。その外周にはテーマの異なる4つの学生向けコモンズが備えられ、ゼミやサークルで活発に利用されている。
2階には「BRANCH(『枝』を意味する)」と名付けられたラーニングコモンズがあり、学生の成長への期待が表されている。南向きに開かれた窓からは野球グラウンドが一望でき、円形ペンダントライトの淡い光に照らされるカウンターは、ボールパークさながらキャンパスライフを楽しめる空間となっている。
3階には中庭が設えられ、晴れた日には自然光が降り注ぐ憩いの場となっている。その周囲には最新のメディア設備の整ったスクール形式の教室が複数配置され、社会科学分野での根幹となる基礎や理論を学ぶ空間と位置付けられる。また4階にはアクティブラーニングルームが設けられており、ここは理論を学んだ学生が、実践力や応用力へと発展させる成長の場としての役割を担っている。各階からアクセスの良い5階には研究室が位置しており、学生はいつでも教員を訪ね、理解を高めることができる。
また、11号館は環境への配慮を徹底している。ESD/SDGsに繋がるカーボン・ニュートラルの実現を目指し、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の考え方を導入している。省エネ技術を取り入れ、年間のエネルギー消費を可能な限り削減することで、快適な学習環境を提供するとともに、光熱費削減や事業継続性の強化等多面的な効果が期待できる。この取り組みは、環境省の令和5年度ZEB実証事業において「ZEB Ready」に認定されている。
さらに、防災に関しても考慮した。近年、比較的災害が少ないとされる瀬戸内地域においても、記録にないほどの集中豪雨が各所で発生し、甚大な被害をもたらしている。岡山市から、災害の状況に応じ自主的に避難所を開設してほしいとの要請があり、11号館に停電時でも非常電源により電力が供給される多目的室を設け、学生・教職員のみならず地域住民の避難にも備えている。
11号館は2025年4月の供用開始以来、未来志向の教育環境と持続可能な社会づくりを両立させる「新世紀のキャンパス」として、本学の新たな歴史を刻み始めている。学長の井尻昭夫は、ラウンジに集い語らう学生の様子を目にして「学生が主役として輝いている」とうれしそうに語る。この校舎は、「実学教育」を旨に、学生・教職員・地域社会が共に成長する場として、その役割を果たし続けていくだろう。

1階大ホール「HUB60」。通常は学生ラウンジとして使われる。
イベントスタイルでは約300名を収容する。

建物を1周する、やわらかな曲線の回廊。

廊下と一体になった、自由に使えるオープンラウンジ。

2階ラウンジ「BRANCH」。写真手前には多用途の個別ブースが設けられ、静かに自習に取り組める。

中央で2つに分かれる6 角形テーブルが並ぶ、レイアウト自在のアクティブラーニングルーム。

四方にスクリーンを備えた広々としたアクティブラーニングルーム。
多彩な座席が配置され、自由なスタイルで学べる。

コモンズ「Co-1」。4つあるコモンズには短焦点プロジェクターが設置されている。

コモンズ「Co-2」。ラウンジ形式。

コモンズ「Co-3」。ミーティングルーム形式。

コモンズ「Co-4」。スクール形式。

横幅の広いスクール形式の教室。3面のスクリーンにより、どの席からも快適に学べる。

円を基調とした3階の開放的な中庭空間。

教職員が気軽に利用できるラウンジ。
落ち着いた雰囲気の中で、ミーティングが行える。

廊下には、個別席が点在している。移動の合間に、集中できるワークスポットとして利用されている。

洗練されたデザインの女性用パウダールーム。階ごとにコンセプトが異なる。
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新世紀のキャンパス 岡山商科大学 /11号館
