カレッジマネジメント Vol.186  May-Jun.2014

カレッジマネジメント Vol.186 May-Jun.2014

短期大学の可能性

リクルートが行う調査データ、国内外の先進事例、人材市場、専門家の解説などにより、「大学経営のサポート誌」としてタイムリーなテーマを発信しています。

編集長が語る 特集の見どころ

 日本の短期大学の学生数は1992年(平成4年)のピーク時には53万人在籍していたが、2013年(平成25年)には13.8万人と7割以上減少している。同様にこの間短期大学数も598校から360校と約4割減少している。

 グラフに示したように、高等学校卒業者の「現役」進学率を見てみると、上昇を続けてきた大学・短大・専門学校を合わせた高等教育機関への進学率は、2010年(平成22年)以降横ばい(頭打ち)となっている。学校種別に見ると、大学進学率は2010年(平成22年)をピークに減少に転じる一方、専門学校進学率は2009年(平成21年)を底に上昇に転じている。短期大学進学率を見てみると、1994年(平成6年)をピークに減少が続いている。

 では、なぜ専門学校進学率は上昇したのか。それは、2008年9月に起こったリーマンショックが大きく影響していると思われる。景気悪化の大きな打撃を受けた家計にとって、4年制大学に対して相対的に低廉な学費で、短期間に実力をつけて人材を社会に送り出す短期高等教育機関への進学は、大きな魅力となりうるはずである。しかし、その受け皿になったのは、日本においては短期大学ではなく専門学校ということだったのではないだろうか。

 社会環境が大きく変化していく中で、女性の社会進出が進み、ライフデザインあるいはキャリア選択も多様化している。そうしたなかで、高校生や保護者はどのように大学、短期大学、専門学校の違いを認識し、進学先として選んでいるのだろうか。また、世界各国と比較して日本の短期大学はどのような特徴があり、何が異なっているのだろうか。そして、短期大学卒業生の雇用環境や満足度はどうなのか。そこに何かこの状況を打開するヒントはないか。今回は、短期大学について、様々な切り口で分析をしてみた。また、このような厳しい環境の中で、個性や特徴を打ち出し、志願者を獲得している短期大学の事例もリポートした。この特集が、今後の短期大学の在り方や可能性を検討する一助になれば幸甚である。