文理選択で重要な「得意・不得意」科目 理系の仕事イメージは理系の中でも男女で明確に方向性が分かれる

編集部では、理系人材育成の起点とも言える文理選択について既に進路選択を経験した大学生に調査した。その内容を報告する。


文理選択に関する調査 調査概要
調査目的
高校段階の文理選択の時期や理由、理系職業に対するイメージを把握する
調査期間
2026年4月2日(木)~ 4月8日(水)
調査方法
インターネット調査
調査対象
全国の大学生
有効回答数
447名


6割が高校2年生で文理(科目)選択を行う

 文理選択を行った時期としては「高校2年生(60.8%)」が突出して多く(図表1)、どちらを選んだかについては「文系」が53.0%、「理系」が46.1%となっている(図表2)。なお男女別で見ると、男性は理系(53.6%)が、女性は文系(57.7%)が多数派で、女性は文系寄り、男性は理系寄りの傾向がある。


図表1 文理選択の時期(SA)


図表2 文理選択結果(SA)


図表3 現在所属する学部系統(SA)


ポジティブチョイスの理系選択
ネガティブチョイスの文系選択

 文理選択理由(図表4)は、文系では「苦手科目を避けるため(42.7%)」がトップで、次いで「好き・得意な科目だった(42.3%)」となった。特に文系女性の47.8%が「苦手科目を避けるため」と消極的な理由での選択をしている一方で、理系女性の50.0%は「好き・得意な科目だった」を理由に挙げているのは興味深い。


図表4 文理を選んだ理由(MA)


 理系ではトップの「好き・得意な科目だった(45.2%)」が「苦手科目を避けるため(19.2%)」を大きく上回る。苦手科目があるから文系を避けたというより、理数系科目が得意だから理系を選んだポジティブチョイスが多数派という状況だ。また、「将来就きたい仕事・職業に必要な学問だった」「将来つぶしがきく・有利になると思ったから」という将来志向の選択肢でも、理系は文系を大きく上回っており、望む未来の姿から理系を積極的に選択している層が多いことが窺える。

文理選択の延長線上でキャリアイメージや将来性を加味する学部選択

 学部選択理由(図表5)では、文系では「教育内容に興味があった(35.6%)」「自分の好き・得意を活かせる(33.1%)」、「将来就きたい仕事・職業につながる(28.0%)」が上位を占める。


図表5 今の学部を選んだ理由(MA)


 トップ3の項目は男女で差がない一方で、文系男性は「将来つぶしがきく・有利になると思ったから」(25.6%) が、文系女性(14.0%)や理系男性(16.7%)と比べても突出して高く、特定の職業に縛られず、幅広い業界や職種に進める「選択肢の広さ」を学部選びのメリットとして重視していることが読み取れる。また、「将来年収の高い仕事に就けそう」(12.2%)も他属性に比べると高めで、将来の稼ぎやすさを学部選びの理由の1つとして意識している層が一定数いることが分かる。

 一方で理系は、「将来就きたい仕事・職業につながる(39.4%)」、「自分の好き・得意を活かせる(38.5%)」、「教育内容に興味があった(33.2%)」と、文系同様の上位項目だが順位が入れ替わる。理系のほうが将来の仕事や職業を意識した学部選択をしている様子が垣間見える。ただし、図表4で理系が文系を大きく上回っている点を確認した「将来つぶしがきく」については、学部選びの段階ではほぼ同等の水準となっている。

男性が持つ「理系知識を活用する」イメージ
女性が持つ「理系仕事そのものの性質」イメージ

 「理系の仕事」のイメージを聞いた図表6では、理系の仕事に対しては「専門性が高い」、「ものづくり、設計、開発などを行う」、「給料が高い」といったイメージを全体的に持たれている。

 特に理系に注目すると、男性が「社会課題を解決する」「国際的に活躍する」「汎用性が高い」等が相対的に高く、「理系の知識をどう使うか(現代的・拡張的なアプローチ)」をイメージしているのに対して、女性は「ものづくり、設計、開発を行う」「真理を探究する、研究する」「専門性が高い」「ロジカルである」「ずっと勉強し続けないとダメそう」等で軒並み男性を上回り、伝統的なエンジニアや研究者の姿、「理系の仕事そのものの性質」をイメージしている。男女間で明確にイメージの方向性が分かれているようだ。

 紙幅の関係で図表はないが、実際の所属学部系統を見ると、理系の女性は「生物・農・獣医(18.8%)」「理学(数学・物理・化学)(17.7%)」「薬学(8.9%)」「看護・保健・医療(6.3%)」といった、基礎研究や特定の資格・高度な専門知識が直結する分野に集中している。一方、男性は「情報工学(19.8%)」がトップであり、ITや情報技術といった幅広い業界や社会課題に応用しやすい分野にいることが、男女のイメージの差(女性の「特定の理系職業」志向、男性の「汎用性」「社会課題解決」志向)に影響していると推測できる。


(文/鹿島 梓)



図表6 「理系の仕事」のイメージ(MA)




【印刷用記事】
文理選択で重要な「得意・不得意」科目 理系の仕事イメージは理系の中でも男女で明確に方向性が分かれる