リベラルアーツ教育を通じ、環境問題の解決と持続可能な社会変革に貢献できる環境リーダーを育成/立教大学 環境学部
【DATA】立教大学 環境学部 環境学科
入学定員:204名
東京都豊島区(池袋キャンパス)

立教大学は、2026年4月に新たに環境学部を開設した。「リベラルアーツ教育で環境学を」を理念とし、文部科学省「大学・高専機能強化支援事業」初回公募(2023年)にも選定された同学部の詳細について、開設準備室にてカリキュラム設計等を担当し、4月より同学部教授に着任した小林潤司氏と二ノ宮リム さち氏に伺った。
建学の精神を体現する学部として
同学部の設置経緯には、学校法人立教女学院との相互協力・連携協定による立教女学院短期大学の閉学(2020年)に伴う収容定員の立教大学への移管があった。通常、収容定員増は認められない東京23区においてその機会を得た同大学は、建学の精神「Pro Deo et Patria(普遍的なる真理を探究し、私たちの世界、社会、隣人のために)」をふまえ、世界の喫緊の課題である地球環境問題に向き合う学部を設置する判断に至ったという。
「池袋キャンパスに作る最後の新学部になるであろうことから、本学の教育を完成させる最後のピースとして、建学の精神を反映するとともにリベラルアーツ教育を1つの学部の中で実現していくフラッグシップにしたいという考えを聞いています」(小林氏)。
文理を融合し、文理の壁を超えて多様な視点や視座を身につけながら学ぶという同大学のリベラルアーツ教育は、環境問題に対するアプローチにも合致する。「環境問題はとても複雑で、様々な分野の専門家が協働して解決に当たる必要があります。その際、自身の専門性を持ちながら、他分野の考え方を何となくでも理解できていることが、より円滑な対話や協働につながります。この点もふまえ、自然科学だけでなく社会科学や人文科学の諸分野も教育に落とし込んだカリキュラムを組んでいます」と小林氏は説明する。

他分野の考え方を理解し対話と協働を実現する人材を育成
育成を目指すのは、「環境正義の理念にもとづき、環境問題の解決と持続可能な社会への変革に貢献できる環境リーダー」である。
環境リーダーのあり方を小林氏は次のように説明する。「本学では、一人ひとりが自身が果たせる役割を考えて行動するリーダーシップ(シェアド・リーダーシップ)を重視し、その教育に力を入れています。環境リーダーの育成においても、自身の行動によってほかの人が行動しやすくなったり、行動が変わったりすることがリーダーシップであるという考えで取り組んでいきます」。
そのための教育として、「文理を超えた多様な専門性」「対話と協働を導くリーダーシップ」「フィールドで身につける実践力」「環境正義にもとづく社会変革」の4つを重視しカリキュラムを設計している。
まず、「文理を超えた専門性」は、先述した「自身の専門性を持ちながら、他分野の考え方を何となくでも理解できること」である。そのために基幹科目や発展科目に幅広い分野の科目を用意し、自由度高く履修できるようにしている。「自身の興味・関心に応じて科目を履修するなかで偶然、別の分野を専門とする学生と同じ科目を履修し、意見を交わす機会を得る。そうして他分野の考え方を理解していってほしい」と小林氏は説明する。
「対話と協働を導くリーダーシップ」については、同大学のリーダーシッププログラムをもとに環境問題の解決に必要な「対話と協働」を重視した独自のプログラムを開発。1年次には全員が履修する科目を設けている。
また、「フィールドで身につける実践力」として、1年次に全国9カ所の環境課題や取り組みの現場から1カ所を選び、3〜4日間程度現地で学ぶ必修科目「環境フィールドスタディ」を配置。2年次以降も選択科目として国内外でのフィールドワーク科目や、現地での就業体験を単位認定する科目を設けている。その狙いを小林氏は「現場を知るだけでなく、『この人たちのために自分は何ができるだろうか?』と考えながらその後の学びを深めてほしい」と説明。二ノ宮リム氏も「環境問題の複雑さや構造的な問題を、また、現場の方々が向き合ってきた困難や乗り越えてきた過程を理解するとともに、それらが自身の生活や社会とどのように結びついているのかにも目を向け、その後の学びに生かしてほしい」と期待を寄せる。
そして、4年間の課程を通じて学生達に伝えていくのが、「環境正義にもとづく社会変革」だ。「環境正義」とは、社会的、経済的に弱い立場に置かれている人がより深刻に環境問題の影響を受けやすいこと等を認識し、環境問題の解決と公正な社会の創出を両立していくという考え方である。この理念にもとづき、環境問題の解決には社会のあり方そのものの変革が不可欠であること、そのための取り組みは「環境正義」の考え方にもとづくことが重要であることを学生達に共有していく。
さらに、教員自身も対話と協働を実践するべく、オムニバス形式の科目では科目の狙いを担当教員全員で共有し、内容について綿密な相談を重ねたうえで分担。複数の教員とゲストが対話形式で授業を行う回も設ける計画だ。
ゼミや卒論・卒業プロジェクトでも多分野との連携を目指す
取材時点では一部の特別入試を終えた段階であったが、「高校の探究活動等を通じて環境問題に対して行動、あるいは調査・研究してきた生徒さん達がその実践を携えて挑戦してくれたという手応えが非常にありました」と二ノ宮リム氏は振り返る。「現場を知る機会がもっと欲しい、現実の課題に取り組んでいきたいといった生徒さん達に今後も関心を持っていただけるよう、1期生達と共に学びを作っていきたい」と意気込む。
また、今後目指す取り組みとして、小林氏は「3年次のゼミや4年次の卒業論文・卒業プロジェクトにおいても、学生が望めば複数の教員から学べる環境を作っていきたい」と話す。「教員自身も専門分野の壁を超えて異なる領域や立場、価値観の人々とのつながりを学生と共に探し、作っていくことに挑戦しながら学生に伴走する学部にしていきたいと思います」と二ノ宮リム氏も続ける。同学部が育成する環境リーダーに期待が高まる。
(文/浅田夕香)
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リベラルアーツ教育を通じ、環境問題の解決と 持続可能な社会変革に貢献できる環境リーダーを育成/立教大学 環境学部
