進学ブランド力調査2015(カレッジマネジメント Vol.194 Sep.-Oct.2015)

ブランドの語源は「burned(焼印)」と言われている。その昔、放牧していた牛に焼印を入れて、どこの家の牛なのか、違いが分かるようにしたのだそうだ。そう考えると、他と違いを示す“差別化”“個性化”こそが、ブランドの根源だということが分かる。

リクルートが行っている「進学ブランド力調査」も、2008年の開始から8回目を迎えた。このブランド力調査の特徴は、調査結果を指標化したり、指数化したりすることをせず、高校3年生の4月の時点での、知名度、興味・志願度、そしてイメージを純粋に数値で表していることである。

 ランキングが注目されるが、重要なのはランキングではなく、大学が発信しているメッセージと、高校生が想起するイメージが合っているかどうかである。大学には、それぞれ建学の精神や理念があり、「うちはこんな大学だ」というメッセージを発信している。グローバル化に力を入れているといくら言ってみても、伝わらなければ意味がない。重要なのは「どう伝えるか」ではなく、「どう伝わったか」なのだ。なので、是非この調査を大学のメッセージが届いているかどうかの検証ツールとしてご活用頂きたいと考えている。

 ブランド力調査を分析してみると、社会環境が大きく影響を与えていることが分かる。昨年の報告では、アベノミクスや東京オリンピック招致といった景気の浮揚感が全国的にあり、関東・関西・東海全てのエリアで私立大学志向が高まった。今年も継続するのではと考えていたところ、関東と関西・東海では、異なる結果が出た。関東では私立志向がさらに強まったが、関西・東海では国公立志向が高まったのである。背景を分析してみると、昨年4月の消費税増税が首都圏以外では、思いのほか大きく影響しているようだ。また、リーマンショック以降続いていた資格志向も、一筋縄ではいかなくなった。分野別の進路希望を見てみると、これまで伸びてきた教育や看護等の分野も地域によってマイナスになる等、ばらつきが出てきている。昨年から連続して伸びているのは、国際系と医療系だけとなった。詳細の分析については、この後の調査報告をお読みください。

 ランキングに目が行きがちだが、この調査を細かく見てみると、様々なことが見えてくる。是非、うまくご活用頂きたい。

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リクルート進学総研所長・カレッジマネジメント編集長

小林 浩

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