【Interview】在学生向けLINEを再構築し必要な情報を迅速に配信、開封率も向上

「その一歩が、学校を変える。」

日々の業務の中にある工夫や挑戦。同じフィールドで奮闘する職員達のリアルなストーリーから、あなたの“次の一手”が見えてくるかもしれません。
「Next Up」は、学校の未来を担う私達自身の知恵と経験をつなぎ、広げるための企画です。

氏名:阪本優貴(さかもと ゆうき)氏

学校名:神田外語大学

所属部署:学生支援部

2014年に大学卒業後、国際空港に就職。カウンター業務や免税業務等に携わる。その経験を活かし、2017年1月に大阪の観光・エアライン系専門学校に転職し広報業務を担当。2020年7月に神田外語大学に入職し、学生支援部に配属。現在は学生寮や奨学金関連、サークル等公認団体活動の支援、障害学生を含む学生相談等、幅広く学生支援業務に携わる。

【サクセスエピソード】煩雑なチャットボット型から発信型アカウントに変更

在学生向けLINE公式アカウントの見直し・再構築を行ったことです。

入職直後の2020年、コロナ禍での学生との接点強化を目的にLINE上でチャットボットを導入し、24時間365日、学生の質問に応答できる体制を整えました。しかし、回答パターンの入力を全て職員が手作業で行う必要があり、運用コストと工数が急速に増大。細かなQ&Aへの対応が追いつかず、ありきたりなQ&A集となってしまい、実用性や費用対効果の観点からも課題感を覚えていました。

また、回答にたどり着くまでが複雑で、学生側の視点で見ても使いにくい仕様になっていました。鳴り物入りで導入したはずが、LINEの登録者数は全学生の半数にも満たない状況でした。学生支援の現場では、「本当に必要な情報ほど、必要な人に届いていない」と感じる場面が少なくありません。本件もその一つで、仕組みは整っているはずなのに、学生の困りごとを十分に解消できていないという違和感がありました。

満足度調査では「必要な情報がすぐに得られない」「ありきたりの基本情報はいらない」等の厳しい意見が寄せられるようになり、思い切って内容の見直しを提言。正直「せっかく作った仕組みを止めてよいのか」という迷いもありましたが潔く終了し、「学生が必要な情報に迷わずアクセスできる導線設計」 を軸に再構築を行いました。

最も大きな修正点は、大学側が必要な情報を確実に届ける「発信型アカウント」にシフトしたことです。

これまで学生に対する緊急情報や重要な通知はポータルサイトで行っていましたが、情報が埋もれて気づかれにくい点が課題でした。そこで、緊急性が高い情報や必ず届けたい情報は、LINEで学生の手元に直接配信することで、情報を探す負担の解消と確実に届く体制の両立を図りました。

これにより、情報提供のスピード、学生の認知率及びメッセージ開封率、職員側の運用負荷の全てが改善し、在学生にも職員にも持続可能な支援体制を構築することができました。

同時に、新入生の入学後ガイダンスでのLINE登録促進に注力したことから、登録者数は在学生の9割近くに上る約3800人に拡大。メッセージの平均開封率は45%前後、重要通知の開封率は60%(いずれも配信後1~2時間内の開封率)に上っています。数字として成果が見えるようになったことで、「学生に届いている」という実感を、職員側も共有できるようになりました。

さらに数字面以上に効果を感じているのは、「学生の安全に直結する情報を迅速に届けられるようになったこと」です。近隣の防犯情報や千葉市・警察署からの緊急メールを受けた際には、即座にLINEで注意喚起できるようになり、学生の安心につながる即応力を大きく高めることができました。また、長期休暇前には国内外での犯罪被害やトラブルへの注意喚起を配信することで、学生の危機意識を高めることもできるようになり、LINEを基軸とした情報提供の実効性を改めて感じています。

【私の仕事術】他部署とのコミュニケーションに注力し学内人脈を構築

「まずはやってみよう」というのが学生支援部の基本方針であり、私が大事にしている姿勢でもあります。今回のプロジェクトも、「まずは身近なLINEから改善してみよう」とスモールスタートから始め、徐々に全体の見直しに動きました。

うまく動き始めると他部署から「この情報を配信してほしい」との要望が相次ぐようになり、依頼フォームを整備するなど、改善を重ねながらスムーズな運用体制構築を進めています。

また、日頃から他部署の教職員と積極的にコミュニケーションを取り、人脈を築くとともに情報感度を高めることも大切にしています。特別なことをしているわけではなく、用件がなくても声をかける、相談を受けたら一度は形にして返す、といった小さな積み重ねを意識しています。普段から互いの状況や課題を把握しておくことで、学生相談が発生した際もスムーズに連携でき、結果として学生に最適な支援へとつながることから、あらゆる部署との関係構築を意識しています。

【今後の展望】窓口とデジタルの両面で学生支援体制を強化したい

これまでは職員ごとに役割が決まっていて、あらゆる業務が属人化している点が課題でした。業務を見える化してフローチャートでまとめる等して、徐々に平準化を進めてきましたが、今後はさらに改革を進め、窓口支援とデジタル支援を統合した「二層型学生支援モデル」を確立する計画です。

LINEでの情報発信も含めデジタルで確実に情報を届ける基盤を整備しつつ、対面で相談したい学生に対し安定した質の支援を提供することで、学生支援の質保証につながる組織的な知識資産化を推進したいと考えています。

大学職員の仕事は、学生の人生の節目に寄り添いながら、在学生や大学の将来を支える、重要な役割を担う仕事です。私自身まだ6年目ですが、日々、正解が一つではない場面に向き合う中で、この仕事の難しさと面白さを少しずつ実感しています。

迷った時に私の背中を押してくれるのは、学生時代にアルバイト先の方からもらった「走り続けるものに不安は追いつかない」という言葉です。大学改革は一人では進みません。若手同士が悩みや工夫を率直に共有することで、組織としての前進力は必ず高まると感じています。

そして何より、学生・教職員のみならず、地域の方々の声にも真摯に耳を傾け続けることが、変革の出発点になると感じています。他大学の皆さんとも一緒に学び、共感し合い、挑戦しながら前へ進んでいければうれしく思います。

(文/伊藤理子)