キャリアガイダンス vol.444 2022.10

体験から学ぶ

「気になる」をどう見つける? どうつなげる?

【Opening Message】体験からの学び × 為末 大(Deportare Partners代表/元陸上選手)/「いつもの学校」で感性の扉は開く 気づきの感度を上げ、知の種を集める 「Feel度Walk」ワークショップ/市川氏と、ワークショップに参加した先生たちの座談会「気づく力」は鍛えられる?/あの人が出会った、新しい世界/体験を深い学びにつなぐ「具体⇔抽象」の思考を体験/「具体⇔抽象」を日常の教育で実践するためのヒント

編集長が語る 特集の見どころ

 

 同じ体験をしても、人によって感じ方や捉えている内容は異なることが多い。でも確実に、その体験を自分のものとして、次へと活かせている人がいる。それは一体なぜなのだろう?」このような問いが編集部で挙がり、今回の特集に至りました。
 そもそもどうすれば気づく力を鍛えられるのか。気づきをどう学びや行動に変えていけるのか。日常の中でどんな実践ができるのか。歯ごたえのあるテーマなだけに、私たちも一歩ずつ理解を深めながら、取材を進めていきました。
 その中で特に気づかされたのは、すべての根幹として、「小さな発見」を認めてもらえる環境が大切であるということです。正解がなく、思い浮かんだことを発言するのは、誰しも初めは怖いものかもしれません。しかし、その踏み出してみた表現に向き合えてもらえたと感じた瞬間から、次なる「小さな発見」への良い循環が、より回り始めるのではないかと感じました。見渡してみると、どんなにすごい研究や事業でも、始めの一歩は内なる小さな気づきや違和感を、まずは言葉にしてみることから始まっていることが多い気がします。

 
  決して非日常な場面でなくとも、学校や家庭といった日常生活の中で「気づく力」は磨くことができ、その体験の中で自分の知っていることとつながったり、見方が変わってみたりと、「具体」と「抽象」を行き来しながら自分の糧となる学びにつながっていく。
 本特集が、学校内外で行われる探究活動や課外活動を始めとした体験を軸としたプログラムにおいて、少しでも参考になりますと幸いです。

                   赤土豪一(本誌 編集長)

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