【Interview】中期事業計画の策定にあたり、目標の明確化やビジョンストーリーによるイメージ共有に注力、実効性の高い計画策定を実現

「その一歩が、学校を変える。」
日々の業務の中にある工夫や挑戦。同じフィールドで奮闘する職員達のリアルなストーリーから、あなたの“次の一手”が見えてくるかもしれません。
「Next Up」は、学校の未来を担う私達自身の知恵と経験をつなぎ、広げるための企画です。

氏名:黒木麻由(くろき まゆ)氏
学校名:名城大学
所属部署:総合企画部 経営企画課課長、学長室課長
大学卒業後、名城大学に入職。大学教育開発センター、法学部を経て、総合企画部に異動。中期事業計画をはじめとする企画業務全般、将来構想等も担当。
【サクセスエピソード】開学100周年をゴールとする中期計画の策定をけん引

中期事業計画において、①数値目標の設定による進捗管理の明確化、②キーワードを軸とした施策の重点化(絞り込み)、③ビジョンストーリーによる到達イメージの共有を行い、より実効性の高い計画を策定できたことです。
本学では、開学100周年に当たる2026年を目標年とする戦略プラン「Meijo Strategy-2026」を推進中です。これは10年前の2015年度から進めているものですが、現場や役員から「定性的な指標が中心で進捗状況や達成度が把握しにくい」「総花的な構成で重点的に取り組むべき事項がわかりにくい」「計画完遂後の姿を具体的にイメージしにくく将来への期待感をもちにくい」等の声が挙がっていました。
これらの課題に対応すべく、戦略プランの半期に当たる5年前に、戦略プランを補完する観点から、重点施策および具体的な取り組み内容を見直したうえで、前述の3つの観点に基づく中期事業計画を策定しました。
「①数値目標の設定による進捗管理の明確化」は、学生の満足度や在学することの誇り、在学中の成長実感等といった項目を中心に目標を数値化。学生アンケートにより達成度が測れるため、達成度がわかりやすくなりました。
また、数値目標を置くことで「なぜ達成できたのか、できていないのか」を各部署で振り返り考えるようになり、今後について部署内で議論できる体制も整いました。
「②キーワードを軸とした施策の重点化(絞り込み)」では、「多様性」「数理・データサイエンス・AI」の2つを重点キーワードとして新たに掲げました。当法人の理念やビジョンについてひも解き、根幹を確認したうえで、社会情勢や環境分析等を踏まえて多面的に検討しました。キーワードを絞り込んだことで、同じ方向に向かって目線を合わせることができたと感じています。
「③ビジョンストーリーによる到達イメージの共有」は、数字の羅列や計画の羅列だと最終的なゴールのイメージがもちにくいことから、新たに取り組んだものです。計画を完遂したときにどういう光景が広がっているのか、ビジュアルを交え物語調に説明することで、現場の理解が深まり、計画に対して前向きな期待感をもってもらえたとの実感があります。
これらの実現に向けては、さまざまな壁もありました。①については数値目標の導入に対する現場の負担感等への対応、妥当な目標水準の検討、②については施策の絞り込みに伴う各部署からの個別要望との調整等、③については本法人として初めての取り組みであったことからその意義に対する理解を得る必要があったこと等が挙げられます。
それぞれ、各部署と個別に何度もすり合わせを行う、施策の優先順位を整理して丁寧に説明する、事前にイメージを十分に共有する等の方法で乗り越えることができ、企画担当者としての自信につながりました。
【私の仕事術】手段を考える前に、原点に立ち返り前提を疑う
普段から、原点に立ち返って考えること、前提から疑うことを大切にしています。大学時代に哲学を専攻していたこともあり、自身の思考の癖でもあります。
企画業務は、自ら課題を設定して行うものだけでなく、外部環境の変化や要請に対応して行うものもあります。例えば、国から新たに補助金が出ることになった場合の対応も、我々企画担当者の仕事です。
このような業務の場合、どうしても「やること」が目的化してしまい手段の検討に走りがちですが、リソースを割いて取り組んだものの結果的にあまりメリットがなかった…というケースは往々にしてあります。そんなときは、手段に走る前に、原点である本学の立学の精神やビジョン等に立ち返り、「そもそもやるべきかどうか」「本学でやる意味はあるのか」を考えるようにしています。
企画の仕事は、さまざまな部署を巻き込むケースが多く、ヒトモノカネといった多くのリソースを必要とするものも多いため、大きな失敗は許されません。失敗を最小限に抑えるためにも、原点に立ち返ることを徹底しています。
【今後の展望】大学全体で成果を生み出す組織風土づくりに貢献したい
今年、本学は100周年という節目を迎え、新たな戦略プランおよび中期事業計画が次年度から始動します。現在、その策定に携わっていますが、高等教育業界を取り巻く環境は一層厳しさを増していると日々感じます。こうした時代だからこそ、新たな計画を着実に実行し、将来を見据えた変革を進めていく計画です。
これらの計画を成果につなげていくためには、部門ごとの最適化だけでなく、大学全体で成果を生み出す組織風土の醸成が不可欠です。特に本学は大学の規模が大きく、部署の縦割りが進んでいるのが課題。そのため、今後はもっと部門横断で連携し、それぞれの強みを生かしながら、組織全体で最大の成果を生み出すという文化づくりにも貢献したいと考えています。
大学改革にかかわる業務は複雑であり、関係者も多いことから、一人でできること、また一つの部署だけでできることにはどうしても限界があります。皆さんにも、個人で成果を出すという視点だけでなく、チーム全体で成果を出すという視点をもってもらえたらと思います。それぞれの強みや特性を把握し、役割分担や連携を工夫することで、組織としてより大きな成果を上げられるようになるはず。周囲と協力しながら、さまざまなことに前向きに挑戦してほしいと願っています。

(文/伊藤理子)
