「採用難」と「就職難」の同時発生続く(就職白書2014)

 2014年3月卒業予定の大学生・大学院生の大卒求人倍率は1.28倍と前年の1.27倍からほぼ横ばいとなった(リクルートワークス研究所調べ)。数年ぶりのベア実施など、アベノミクスによる業績回復の兆しが見え始めるなか、2014年卒の新卒採用にも波及はしたのだろうか。

 株式会社リクルートキャリアがまとめた「就職白書2014」によると、2014年卒の採用数は、「計画通り」「計画より若干多い」「計画よりかなり多い」を合わせた「充足・計」が58.9%で、約6割の企業が計画した採用数を充足した(図)。

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 しかし前年に比べると、充足企業は3.4ポイントの減少、未充足企業は前年より3.1ポイント増加(39.3%)しており、業績の回復とともに採用意欲は高いのに、充足できない企業が増える「採用難」の傾向が昨年と同じく続いている。

 ただしこの採用難も、大企業と中小企業で二極化しており、従業員5000人以上はむしろ充足企業が3ポイント増加、4999人以下はどの規模においても充足企業が減少している。未充足についても同じことが言え、大企業のみ採用難が改善、中小企業は採りきれていない状況となっている。

 一方、民間企業への就職活動を行った学生の就職状況を見ると、「民間企業に就職する」(72.2%)、「民間企業以外に就職する」(5.8%)を合わせた「就職・計」は77.9%と、前年の74.7%より3.2ポイントの微増に留まっている。「就職難」が改善したとまでは言えない状況だ。

 なお、次年度の2015年卒の採用数が満たなかった場合についてたずねると、「採用数に満たなくても求める人材レベルは下げない」が51.9%と半数を超えており、相変わらず厳選採用は続く見込み。ただしその値は前年より4.0ポイント減少、「未定」も3.1ポイント増えており、悩める企業の姿も垣間見える。

 カレッジマネジメント編集部 能地泰代 (2014/04/23)

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