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高校生の価値意識は志望分野でどう異なるか ①全体傾向

 リクルート進学総研では、2007年より「高校生価値意識調査」を実施し、高校生の社会観、ライフデザイン、キャリア観、進学観などを調査している。今回の2014年調査で4回目となる。「高校生」と一言にいえど、その属性や志向によって価値観は異なるため、ターゲットを明確にしたうえでの分析が必要となるが、今回はその中でも「志望分野別」での価値意識の違いについて見ていきたい。なお、この志望分野は大学・短大・専門学校の全てを包括した分野の区切りとなっている。

 高校生のキャリア観を志望分野別に見てみると【図1】、それぞれに傾向が異なることがわかる。

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 「自分の趣味や好きなことができる仕事に就きたい」「自分の夢を叶えることができる仕事に就きたい」など、自分の夢や好きなことを重視するのは、マスコミや美容、観光といった分野である(波線囲み①)。自分の個性やセンスを生かし、好きなことを仕事にしたいという感覚であり、心に響くキーワードでは、「自分らしさ」や「自由な」「夢」といった言葉が上位を占める。また、意思決定の際には流行や周囲の意見に流されず、自分の判断を重視するのもこれらの分野の特徴といえる。

 自分の「好きなこと」に加えて、「社会貢献ができる仕事がしたい」「身近な人の役に立つ仕事がしたい」という社会貢献的な視点が加わるのが料理・栄養や教育系だ(波線囲み②)。いい会社に入りたい、お金持ちになりたいといった収入や地位には興味がなく、誰かの役に立てる生き方がしたいと考えている。料理系が入るのが意外な気もするが、高校生のインタビューの中では、昨今のヘルシー志向を受けて「健康で栄養面も考えられた料理を作りたい」など、好きなことをするだけでなくそれを通じて人々の生活の質向上に寄与したいという声も聞かれる。

 同じ社会貢献という視点を持ちながら、「資格」「手に職」といった、長期的な安定・安全志向を重視するのが医療系や福祉系だ(波線囲み③)。特に女子に関しては、結婚、出産後も医療・福祉系の資格を持っていれば働き続けられることができるという理由で志望する高校生も多い。これらの分野は、もともと他の分野と比較すると、進路選択時に家族や親族など身近な人の影響が高いという特徴もあり、周囲にそう言われているということも大きいだろう。

 目指す職業も明確なので、進学先に求めるのは資格取得であり、あらかじめ受ける授業が決められていて、補習やフォローがしっかりしている授業スタイルを支持する傾向が高い。 

 その他、理系を中心とした分野では、「将来はなるべく大企業や有名な企業に入りたい」「収入が高い仕事がしたい」など、地位や収入といったステイタスを重視する傾向がある(波線囲み④)。手に職をつけるよりも会社員になりたい、派遣社員や契約社員でなく正社員で働きたいという雇用形態についてのこだわりもあり、心に響くキーワードにも、「評判が良い」「技術」「先進性」「研究」という言葉が並ぶ。これらの分野志望者については、将来のビジョンや明確な職業はぼんやりしていることが多く、「将来のことは進学してから考えたい」と考え、「大学に進学するなら偏差値の高い大学に行ったほうがよい」と偏差値を判断基準にする高校生も多い。

 2月の月次特集では、17の分野のうち、特徴的な4分野をピックアップしてご紹介する。各分野別の詳細分析については、こちらに掲載させていただいているので参照されたい。

リクルート進学総研研究員 牧田綾子(2015/01/15)

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