WEB限定 月次特集

関西難関私大のイメージポジショニングマップ

 前回の月次特集(関東難関私大のイメージをポジショニングマップ)に続き、関西エリアのそれぞれの難関私大に対して、5年前と今で高校生がどんなイメージを持っているのかを報告する。


■ポジショニングマップで位置を比較

 まず、関西エリアの難関私大、いわゆる関関同立産近甲龍(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学、京都産業大学、近畿大学、甲南大学、龍谷大学)8大学の機能的価値イメージポジショニングマップ(図表1)を見てみよう。

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 2010年と2015年の機能的価値を表すイメージ軸を比較すると下記の通りとなっている。
2010年・・・軸1【入試方法が自分に合っている】⇔【学生の学力が高い】
              軸2【規模が大きい】⇔【教養が身につく】
2015年・・・軸1【偏差値が自分に合っている】⇔【学費が高くない/教育内容のレベルが高い】
              軸2【入試方法が自分に合っている】⇔【将来の選択肢が増える】

 軸の変化を見てみると、2015年の軸1・2は2010年にはなかった「偏差値が自分に合っている」「学費が高くない/教育内容のレベルが高い」「将来の選択肢が増える」に変わっている。この5年間でこの8大学において、この3イメージをより強く持たれるようになった大学があることが推察される。一方、「学生の学力が高い」「規模が大きい」「教養が身につく」が軸から消えており、この8大学に対して、これらのイメージが弱まっている可能性が考えられる。

 個別大学のポジションでは、2010年には関西大学、京都産業大学、近畿大学が、「入試方法が自分に合っていて規模が大きい」イメージにポジショニングされていた。2015年では、「偏差値が自分に合っている」イメージになり、関西大学、近畿大学は「将来の選択肢が増える」イメージ寄り、京都産業大学は「入試方法が自分に合っている」イメージ寄りである。

 続いて、感性的価値を表すイメージのポジショニングマップを見ていきたい(図表2)。
 2010年と2015年の感性的価値を表すイメージ軸を比較すると下記の通りとなっている。
2010年・・・軸1【のんびり】⇔【厳格な】            軸2【明るい】⇔【上品な】
2015年・・・軸1【親しみやすい】⇔【上品な】      軸2【先進的な】⇔【のんびり】

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 2010年と2015年の軸の変化を見てみると、「上品な」が軸2→軸1に変わっているので、上品なイメージをより強く持たれるようになった大学があることが推察される。また、2015年に新しく「親しみやすい」「先進的な」が軸1・2に変わっている。この5年間でこの8大学において、これらのイメージをより強く持たれるようになった大学があることが推察される。

 2010年に「明るく自由」イメージを持たれるグループとして、近畿大学、京都産業大学、関西大学がポジショニングされていたが、2015年には近畿大学は「個性的で明るく先進的」に変化し、8大学のなかで独自のイメージポジションを形成している。
 2010年に「厳格で知的、自慢できそう」イメージが強かった同志社大学・立命館大学は、2015年には関西学院大学含め「おしゃれで知的、自慢できそう」イメージになった。この3大学で「おしゃれな」イメージが一番高まったのは同志社大学であった。

 マップの右下部分だが、2010年は、右下端に甲南大学がポジショニングされており、「おしゃれでのんびり」のイメージを持たれていた。2015年には軸2が変わり、甲南大学は「厳格で落ち着いた」のイメージに変わったようだ。

■イメージレーダーチャートでスコアを比較

 マップ上の変化を見たあとに、この8大学に対して実際にどのくらいのイメージスコアを得ていたか、レーダーチャートで示し、2010年と2015年で比較してみたい(図表3)。

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 関関同立と呼ばれるグループでは、2010年波形は似ているがイメージスケールは、同志社大学>関西学院大学>立命館大学>関西大学の順になっており、志願度1位を維持する関西大学は、実は最もイメージスケールが小さい。それぞれ、同志社大学は「知的で自慢できそう」、関西学院大学は「明るく上品でおしゃれ」、立命館大学は「まじめで個性的」、関西大学は「自由で親しみやすく多様」なイメージをより強く持たれていた。

 2015年になると、4大学とも、イメージスケールが小さくなっており、立命館大学>同志社大学>関西学院大学>関西大学の順になり、立命館大学のイメージスケールが最も大きくなった。「先進的な、知的な、まじめ、厳格な」のイメージ項目で最もスコアが高い。自由回答は、「発展していきそう、設備が整っている、自宅から通える」等だった。
 同志社大学は「自慢できそう、落ち着いた、上品な」のイメージ項目が4大学中最も高く、「知的な」イメージは一番低下した。自由回答は、「憧れ校、伝統がある、有名である、私学でトップ」等だった。
 関西大学は「自由で親しみやすく多様」イメージで2010年と大きな変化はなかった。自由回答では、「活気がある、就職に有利、自宅から通える」等だった。
 関西学院大学はやはり「おしゃれで明るい」イメージが高いが、4大学中で唯一15項目すべて5年前よりスケールが小さくなっているのは気になる点だ。自由回答は、「雰囲気が良い、英語が学べる、自宅から通える」等だった。

 次に産近甲龍と呼ばれるグループで、注目すべきは近畿大学だ。2010年でもイメージスケールが4大学中で最も大きかったが、2015年では近畿大学以外の3大学は小さくなったのに対して唯一イメージスケールが大幅に拡大した。関関同立を含めた8大学で比較してもイメージスケールは一番となった。波形も変化し、「明るい、自由な、先進的な」イメージが特に高まり、15項目中9項目でイメージスケールが大きくなり、11項目は4大学中一番となった。自由回答は、「マンモス大学で学びたい、有名である、活気がある、農学部志望、マグロ完全養殖、近大マンゴーに興味がある」等特定の分野・研究を挙げる声も多くあり、様々な取り組みが高校生に伝わったことでイメージスケールが大きくなり、志願者増に結びついていると考えられる。
 甲南大学は2010年に近畿大学と同等のイメージスケールの大きさだったが、2015年には大幅に小さくなった。特徴的だった「おしゃれな、先進的な、のんびり、多様な」等のイメージが大幅に低下し、「上品な、落ち着いた」が4大学中最も高くなった。自由回答では、「偏差値が自分に合っている、自宅から通える」という意見が見られた。
 京都産業大学は、「多様な」のイメージが強まり、その他のイメージは軒並み低下した。自由回答には、「外国語(英語・ドイツ語・朝鮮語)が学べる、雰囲気がよい」等の意見があった。
 これと似た波形を持つのが龍谷大学。2010年より「親しみやすい」のイメージが増加し、「落ち着いた、明るい」等のイメージが低下した。自由回答には、「部活サークルが盛ん、就職に有利、偏差値が自分に合っている」等があった。

 自由回答でこの8大学に共通のキーワードは、「有名」「就職に有利」「雰囲気がよい」「頑張れば手が届きそう」等や、関東と同様に「学びたい学部・学科がある」の意見が多かった。


 今回は関東難関私大、関西難関私大のポジショニングマップとイメージレーダーチャートを使い、各大学のイメージを見てきた。特にイメージレーダーチャートでは、2010年より2015年のほうが全体スケールは小さくなる一方で、2015年もイメージスケールを維持、もしくは大きくなっている大学もあった。つまり、全体的に各大学に対するイメージを高校生が区別しづらくなっているなかで、これからは、大学独自の建学の精神や理念、特色を活かして「どんな人材を社会に送り出していくのか」が大学の価値となる。入口(入学)→中身(教育・研究)→出口(就職)までを一貫させた教育を重視し、またそれをわかりやすく社会に発信していくことがますます重要になってくるだろう。

リクルート進学総研研究員 池内摩耶 (2016/04/22)

  
   

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リクルート「進学ブランド力調査」より