【卒業時満足度調査2015追加分析】大学生のキャリア観とキャリアサポート

今回は、前回に引き続き、『大学生の卒業時満足度調査2015』(※)より、各大学が近年力を入れている具体的なキャリアサポートについての影響を分析する。就職活動を経験した大学生に絞って、各キャリアサポートを経験したどうかを尋ねた。(図1)文系理系別では傾向別に差がみられないため、男女別での分析とした。大学生のキャリア観に対して、大学での経験がどのように影響しているのかについてみていきたい。 


■「文系女子」が積極的にキャリアサポートを利用

【図1 大学のキャリアサポートの経験率(就職活動経験者ベース)】

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全体でみると、ガイダンスや講座などへの参加率が高い。男女別にみると、全体的に女子の参加率が高く、特に前述のガイダンスや講義講座などの経験率は10ポイント近く差が開いている。なかでも、文系女子は全項目においてトップであることから、キャリアサポートの利用について積極的であることがうかがえる。

では、実際に大学でのどのようなキャリアサポートが、彼らのキャリア観に影響を与えているのだろうか。(図2)


■キャリア観に影響を受けたものTOPは「インターンシップ」

【図2 キャリア観に影響を与えた大学でのキャリアサポート(それぞれのサポートを経験し、かつ影響を受けたと回答した人の割合)】

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全体でみると、トップはインターンシップとなった。経験率では約2割にとどまっていたが、実際に経験した大学生は影響を受けたと感じている割合が高いことがわかる。

「学内公募のインターンシップでは将来の働き方について非常に参考になる経験をしたから(文系男子)」「インターンシップへの参加がカリキュラムに組み込まれているので、志望していた職種を見直すことができた(文系女子)」など、大学のカリキュラムに組み込まれていたことを評価する声もある。

男女別にみると、先ほどとは異なり全項目において男子が女子を上回っており、特に「進路就職ガイダンス」「授業の中で実際の企業や社会人と協働する機会」が男子の影響度が高いようだ。


■男子より女子のほうが就職活動の納得感が高い

【図3 就職活動のプロセスや結果について、自分自身で納得できたかどうか(納得できると回答した人の割合)】

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全体でみると、就職活動の結果やプロセスについて納得のいく結果であると答えたのは6割弱となっている。

男女別でみると、女子の納得度が男子を大幅に上回り、11ポイントの差がついている。

リクルート進学総研研究員 牧田綾子 (2016/08/01)