【進学ブランド力調査2012追加分析】理系女子(リケジョ)の志願したい大学 <女子マーケット番外編>
本誌178号では、リクルート「進学ブランド力調査」から、関東・東海・関西の.....
※リクルート「進学ブランド力調査」とは
高校生の大学選びの動向を明らかにするため、年に1回、高校3年生を対象として行っている調査です。大学の志願度、知名度のほか、大学に対する50項目にわたるイメージを調べています。→調査概要を読む
本誌178号では、リクルート「進学ブランド力調査」から、関東・東海・関西の3エリアの女子の全体志願度ランキング(上位20位)をリーマンショック前の2008年と2012年で比較して、志願したい大学にどのような変化があったかを考察した。
ここでは特に、全体ランキングとは大きく顔ぶれが異なる「理系女子ランキング」について、昨年より順位を上げた大学を中心に見てみよう。
【参考図表】
理系女子が進学を希望する分野<2009・2011年)(大学進学者/複数回答)
■関東
関東エリアの1位は千葉大学だ。私立志向の関東といえども、理系は国公立志向が強まり、昨年の3位から初のトップとなった。同調査では、志願したい理由を自由回答でたずねているが、千葉大学の場合、「関東で薬学部がある国立は東大とここだけ」「国立で看護学部がある」など、まず国立大学であることを条件に、学びたい学部で選んでいる。さらに、本誌でも紹介した理系女子の希望分野(参考図表)の上位である、「薬学」「農」「看護」「理学」関連の学部を兼ね備えているのも大きな理由であろう。
国公立志向の次は、資格志向である。2位は医療系総合大学で理学部も持つ北里大学だ。志願理由は、「資格取得」「就職率が良い」などのほか、「理学と薬学を両方受験できる」「薬学部以外の学部と共に研究が進められそう」「チーム医療が学べる」と、医療系総合大学ならではの強みに期待する回答もあった。
3位の東京農業大学は農学人気で近年上位にいるが、特に応用生物科学部は人気が高く、リクルート「入試実態調査2012」では志願倍率が22.0倍にのぼっている。志願理由は「動物発生工学(バイオサイエンス)を学びたい」「日本の大学で唯一、醸造科学科があるから」「栄養科学科のレベルが高い」など、専門性の実績が高く評価されている。
なお、新たに20位以内に入った大学は、東京医科歯科大学、中央大学、日本女子大学、お茶の水女子大学、上智大学だ。日本女子大学は「女子大で理学部がある」「管理栄養士の国家試験合格率が高い」、お茶の水女子大学は「国立で希望の学部がある」「女子大で有名で伝統がある」などが志願理由に挙げられ、資格志向と地元国公立志向による女子大人気の傾向が表れている。また上智大学は2011年に看護学科を開設しており、「看護が新設だが、上智という名前で安心できる」といった回答から、資格が取れる有名校という理由が垣間見える。
■東海
東海エリアの1位は、昨年と変わらず名古屋大学だ。名古屋大学は「自宅から通える国公立大学」「地元で一番レベルが高い」という意見が圧倒的に多い。2位の名古屋市立大学は、「自宅から通える」「公立大学で学費が安い」のほか、「薬学部がある」なども見られた。3位の岐阜大学は、「教員になりたい」「地域医療を重視している」「看護もそれ以外の学部もある」「国公立で獣医学があり、家から近い」など、具体的な回答が多かった。
このほか、三重大学、静岡県立大学が順位を上げ、1位から5位までを国公立大学が占めているのも、地元国公立志向が最も強い東海エリアならではだ。女子比率が低くなりがちな工学系の名古屋工業大学も大きく順位を上げている。一方、国公立大学が順位を上げるなかで、私立大学では椙山女学園大学が順位を上げている。「女子大で楽しそう」「保育士になりたい」「管理栄養士になりたい」などの回答から、資格志向で女子大人気が復活している例であろう。
新たに20位以内に入った大学を見ると、名古屋学芸大学、日本赤十字豊田看護大学、三重県立看護大学、首都大学東京、鈴鹿医療科学大学、聖隷クリストファー大学、筑波大学、日本大学となっている。やはり、看護、医療、教育、薬科といった資格に直結する大学がズラリと並んでいる。名古屋学芸大学は、管理栄養学科と子どもケア学科が人気で、「養護教諭の資格を取得したい」などの理由があった。また国公立志向からか、エリア外の首都大学東京、筑波大学の名前も挙がっていた。
■関西
関西エリアの1位は、大阪府立大学だ。志願理由は、「公立で学費が安い」「自宅から通える」などが多数だったが、「獣医学がある」「看護師になりたい」「国家試験の合格率が高い」など、女子の資格志向のニーズも十分に満たしていることが分かる。2位は大阪市立大学、3位は神戸大学と順位が入れ替わった。大阪市立大学の自由回答は、「自宅から通える」「学費が安い」のほか、「国立より自分のレベルに合っている」も複数見られた。一方、神戸大学の自由回答は、「レベルが高い」「憧れの大学」「医学部に行きたい」などだった。なお、大阪大学が順位を上げ、上位4位までが国公立大学となっている。
新たに20位以内に入った大学は、神戸市看護大学、奈良女子大学、滋賀県立大学だった。やはり資格志向と、例えば奈良女子大学は「国公立大学で女子大というところに魅力を感じる」など、地元国公立志向と女子大人気が表れている。このほかに順位を上げた大学を見ても、大阪薬科大学、京都薬科大学、生命科学科と薬学部を持ち2012年に看護学部を新設した摂南大学、大阪教育大学と、やはり資格志向である。武庫川女子大学も順位を上げており、「就職に有利」「親の勧め」などが志願理由だ。教育内容では、教育学科、食物栄養学科などの人気が高い。
3エリアの動向から、2012年の理系女子ランキングの特徴は、全国的に、「地元国公立志向」「資格志向」「女子大人気」と総括できそうだ。
カレッジマネジメント編集室 能地泰代 (2013/2/14)
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178号 特集 女子マーケットを探る
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