【奨学金制度に関する学長調査2012追加分析】募集戦略に独自の給付型奨学金を活用――(2) 入学前の高校生に分かりやすく広報する

※「奨学金制度に関する学長調査」報告
リクルート『カレッジマネジメント』と文部科学省科学研究費「教育費負担と学生に対する経済的支援のあり方に関する実証研究」の共同プロジェクトは、大学の学費(授業料等)や奨学金の動向を明らかにするために、「奨学金制度に関する学長調査」を行いました。
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■入学前の高校生に分かりやすく広報する

 奨学金を募集戦略に位置づけるなら、せっかく独自で作った給付型奨学金を、入学前の高校生に、いかに分かりやすく伝えられるかがカギになる。
 実際に、保護者や高校生にどのような説明をしているかとたずねると(図表4)、入学案内等での説明(98.8%)や、ガイダンスでの説明(79.6%)など、大人数への説明会等は行っているが、入学以前の個別説明を行っている割合は、私立大学が最も高いものの、47.3%と半数に満たない。ある大学では、大人数向けの説明を行った後、個別相談コーナーに高校生と保護者が殺到し、大行列になったという。高校生と保護者は、「自分は奨学金をもらえるのだろうか」と、入学前の個別説明に渇望しているのだ。

図表4
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図表4

 

 「入学以前に学費や奨学金について個別に説明を行う機会を設けている」と回答した大学について、地域別、規模別に詳しく分析してみると(図表5)、地域別には、最も高いのは「関西」(48.7%)だった。2番目は「九州・沖縄」(42.4%)、3番目が「北海道・東北」(42.1%)となった。4割を超える地域がほとんどだが、「中国・四国」(37.0%)のみ、やや低い。
 規模別には、「3000〜4999人」が最も多く52.8%となった。次いで「1000〜2999人」(46.6%)、「500〜999人」(45.6%)となっている。500〜4999人の間で、規模が大きくなるほど、4割〜5割と高い割合で実施しており、それを下回る規模では2〜3割台にとどまっている。意外だったのは、スタッフの多そうな5000人以上の大規模大学での実施率が3割台と低かったことだ。大規模ゆえに、きめ細かなケアが行き届いていないということだろうか。

図表5
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図表5

 

 次回「募集戦略に独自の給付型奨学金を活用(3)」では、独自の給付型奨学金の事例、自由回答から見る独自奨学金と課題について分析します。

カレッジマネジメント編集室 能地泰代 (2012/12/18)

  
   

【募集戦略に独自の給付型奨学金を活用】
(1) ミッションに合う学生をターゲティング

(2) 入学前の高校生に分かりやすく広報する

(3) 独自の給付型奨学金の事例

(4) 今後の独自の給付型奨学金

(5) 大学が抱える奨学金の課題

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プレスリリース「奨学金制度に関する学長調査」