津田塾大学 千駄ケ谷キャンパス

新世紀のキャンパス/津田塾大学 千駄ケ谷キャンパス

津田塾大学では2017年4月、国内の女子大では初となる総合政策学部を開設した。そのメインキャンパスとなるのが千駄ヶ谷キャンパスだ。もともと財団法人津田塾会が所有していたが2008年大学に寄贈され、それ以来大学院や公開講座等の拠点として活用していたところ、今回学部設置に合わせて校舎を新築したという。
 総合政策学部が標榜するのは課題解決力の育成。「予測不可能な将来に起こり得る様々な事象に対して、課題解決力を持つ女性リーダーを輩出する必要があります」と萱野稔人学部長は話す。少子高齢化や労働力不足、地方過疎化等、具体的な社会課題を見据え、その解決のために必要な方策を考える力を磨く。「目の前のことの累積によって学問を究めるという従来型の学問アプローチとは逆で、実体的な解決力を磨くためにゴールを設定し、そこから逆算して必要要素を育んでいく実践的アプローチをとっています」。学習の土台となる基礎科目として、英語、ソーシャル・サイエンス、データ・サイエンスの3つが必修となっている。授業ではPBLを積極的に活用するほか、留学やサマースクールを想定してクォーター制を取り入れ、第2クォーターは必修の授業を入れない等、活動の幅を広げられるよう工夫しているという。1・2年次に課題へのアプローチ方法を徹底して学んだ後、3年次よりゼミを選択し、パブリック・ポリシー(公共政策)、エコノミック・ポリシー(経済政策)、ソーシャル・アーキテクチャ(社会情報)、ヒューマン・ディベロップメント(人間社会)の4コースに分かれ、専門性を高めていく。
 キャンパスの北側には新宿御苑、東側には神宮外苑があり、都会的な雰囲気でありながら緑豊かで落ち着いた環境。新国立競技場建築予定地や東京体育館に隣接し、千駄ケ谷の駅前という恵まれた立地である。同体育館の設計者でもある槇 文彦氏が街全体のデザインを考慮してキャンパスを設計しており、街の景観に調和した佇まいとなっている。地下1階・地上5階建ての新校舎は、駅に面した北側の低層棟(3階建て)と南側の中層棟(5階建て)からなる1つの建物。学部生向け教室は主に3階までで、4・5階は院生や教員のためのエリアとして区分され、研究室等が配置されている。中庭を配置しているほか、複数の吹き抜けによって視線の透過性を高めており、圧迫感を与えないよう配慮された構成だ。政治の中心地である霞ヶ関や新宿新都心のオフィス街にも近く、カリキュラム上の連携等もしやすいようである。
 津田塾が2学部体制になるのは1948年に新制度のもとで大学となって以来。津田塾と言えばやはり、創立者津田梅子が6歳で欧米に渡ったことからも英語で有名だが、今回の新学部創立に当たっては、英語とリベラルアーツを標榜してきた従来の学芸学部で育成する人材とは異なる、より現代的な課題コミット型の人材育成を想定して議論を繰り返し、構想は足掛け10年にも及んだそうである。「安倍政権も女性の活躍を謳っていますが、女性ならではの視点を活かし、自らのキャリアを構築しながら社会に貢献をするリーダーが必要な時代。本学が従来から大事にしてきたリーダーシップは、現在とこれからの時代に合う形で再構築することで、さらに大きな価値になると思います」(萱野学部長)。その狙い通り、高校生からの反響は上々で、初年度入試では入学定員110名に対し2000名を超える志願者が集まった。
 時代の変革期にあって、大きな決断をした伝統女子大。満を持しての新学部設置で、「21世紀の津田梅子」育成を担う。 (本誌 鹿島 梓)