【TOP INTERVIEW】「オール日大」の総合力を活かし、新たなステージを目指す/日本大学 学長 大貫 進一郎
日本大学 学長 大貫 進一郎(おおぬき しんいちろう)
1968年生まれ
1991年 日本大学理工学部電気工学科卒
2000年 日本大学大学院理工学研究科電気工学専攻 博士後期課程修了
イリノイ大学電気コンピュータ工学科ポストドクトラル研究員
2003年 イリノイ大学電気コンピュータ工学科客員講師
2004年 日本大学理工学部助手
2015年 日本大学理工学部教授
2020年 日本大学理工学部情報教育研究センター長
2022年 学校法人日本大学理事、日本大学副学長
2024年 日本大学学長
「自主創造」を体現する10万人規模の総合教育機関
日本大学は全国に18キャンパスを有し、16学部86学科、21研究科、学生数7万人を擁する総合大学です。認定こども園、幼稚園、付属小学校・中学校・高等学校、短期大学部、通信教育部、専門学校等を含めると10万人規模となる日本最大級の総合教育機関でもあります。
学祖の山田顕義は、岩倉使節団の一員として欧米を視察した経験から、司法大臣となり日本の法律作りに尽力しました。そして1889年、日本の法学を学ぶために設立した日本法律学校が本学の前身となります。
教育理念「自主創造」は、「自ら学ぶ」「自ら考える」「自ら道をひらく」人材の輩出を目指しています。これまで創立130年余りの歴史の中で126万人の卒業生を輩出してきましたが、著名な卒業生が数多く活躍しているのも、自主創造の教育を体現していただいた成果だと思っています。
自主創造と「日本大学ワールド・カフェ」
以前は16の単科大学の集合体というのがおそらく本学のイメージであったと思いますが、現在は、総合大学としての一体感のある教育的な取り組みを推進しています。横の連携による教育に取り組む第一歩として、2014年から全学共通初年次教育科目「自主創造の基礎」を導入しました。自主創造を体現する学びとして、本学の成り立ちや活躍中の卒業生、入学後の学び等、本学をより深く知り、横の連携を意識してもらう科目です。さらにこの科目の中で2017年から実施している「日本大学ワールド・カフェ」は、全学部の1年生と短期大学部の総勢1万5000人超の学生達が、学部ミックスの形でグループワークを行う一大イベントになっています。
また横の連携の学生支援として、「日本大学自主創造プロジェクト~日大生のやってみたいを実現するプロジェクト~」をスタートさせました。複数学部の学生が参画する学生発案型プロジェクトを大学が審査し、大学は最大100万円をサポートします。今年度は29 件が採択され、夢の実現に奮闘しています。
「在学中に本物に触れさせたい」と林 真理子理事長が主導する「理事長・学長セレクト講座」では、建築家、作家、実業家、元スポーツ選手等、誰もが知る各界の著名人に講演をいただいています。
世界最大規模のデータ量を活かす教学DX
私は今年4月より学長に就任しました。理事長と両輪でステークホルダーからの信頼を高める施策を可及的速やかに進めるとともに、これまで私自身が感じてきた問題を一つひとつ解決していくのも役目だと思っています。
そのための組織作りの一つとして、「教学企画戦略委員会」による学長・副学長補佐体制を構築しました。本学は副学長の数が3名と学生数に対しては少ないため、各副学長の3つの分掌(学務・学生・研究)ごとに部門別委員会を設置し、委員会メンバーが副学長補佐を担うことで推進力を高めます。副学長補佐には各分野でこれまで豊富な経験のある教員を登用していますが、学長特別補佐には、次の世代を支える若手人材を配置しています。本学は継続性の弱さも課題であり、全学的な改革を次世代にバトンタッチできる体制を考えました。
「教学DX戦略委員会」では、総合性を活かしたプログラムを支える基盤となる、付属高校との連携と教学DXに取り組みます。10万人規模の総合教育機関だからこそ実現できる、世界最大規模の教学DXの構築です。なかでも法人内の付属中学校・高等学校には本学と共通のLMS(学修管理システム)を提供し、高校別に本学でどういう学びに連携できたかを見られるようにします。付属校における本学の学びの理解を深め、内部進学のインセンティブになることを期待しています。これまで数の力を持ちながら、その取り組みが弱かったという反省があり、本学の唯一無二の特徴である総合教育機関としての強みを活かしながら、国内はもとより世界に挑戦していきます。
変わる日大を学内外にアピール
本学は今大きく変わろうとしています。このことを大学内外に伝える取り組みも進行中です。
オープンキャンパスでは各学部が個の力を発揮するだけでなく、理事長とともに積極的に出向いて全学的なPRを行っています。また、今年度より「スマイルキャンパスプロジェクト」と称する学生の笑顔を増やすイベントを企画し、各キャンパスの学生たちとの交流の機会を理事長も私も楽しんでいます。
本学の卒業生は、創立以来120 万人を超えており、本学を支える大きな支えとなっています。オール日大で卒業生にもご協力いただき、入学式や卒業式で本学卒業生を含む著名アーティストらによるライブパフォーマンスを実現できたのも、多数活躍する卒業生のおかげです。「社会に出てあらためて日大の強みを実感した」という卒業生の声を本当に多くいただいています。スポーツも芸術も本学の学びの一環であり、「これがまさに日本大学の自主創造の体現」ということを、目に見える形で理解してもらっています。
「ない専門はない」といわれるほど、多様性の宝庫である本学の学びが総合性を発揮できれば、真の総合知を涵養するH型(イノベーション)人材を生み出せます。それが実現できた時、本学はきっと想像もつかないような大学に発展していることでしょう。
(文/能地泰代 撮影/平山 諭)
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