進学ブランド力調査2024 分野別×エリア別 志願度ランキング

『進学ブランド力調査』は高校生の大学選びの動向を明らかにするため、
年に1回、高校3年生を対象として行っている調査で、
大学の志願度、知名度のほか、大学に対するイメージを調べている。
本稿では、進学を希望する学問分野ごとに志願度の高い大学を、
エリア別に「分野別志願度ランキング」としてまとめた。

詳しいデータはPDFおよび 当サイト高校生「志願したい大学」を7エリアで発表『進学ブランド力調査 2024』をご覧ください。


リクルート進学ブランド力調査 調査概要

  調査目的  
2025年3月卒業予定の高校3年生の大学に対する志願度、知名度、イメージを把握し、関係各位の参考にする。
  調査対象  
全国の高校に通っている2025年3月卒業予定者
  調査時期  
関東甲信越、東北:2024年4月1日(月)~4月30日(火)
その他地域:2024年4月2日(火)~4月30日(火)
  調査方法  
インターネット調査

2024年分野別×エリア別志願度ランキングに見る、大学の競争力と個性化

分野別×エリア別 志願度ランキングとは

 『進学ブランド力調査2024』では、51に分類した学問の中から、進学を希望する学問分野を高校生に選択してもらった。「分野別×エリア別 志願度ランキング」は、これら51分野を類似性の高いもの同士を統合して21種類としたうえで、全国7エリア(関東甲信越・東海北陸・関西・北海道・東北・中四国・九州沖縄)ごとに、各分野への進学希望者が志望校として選ぶ割合の高い大学をランキング化したものである。

エリア別に見た特徴

 2024年の分野別志願度ランキングでは、エリアごとに際立った特徴が見られた。本稿では各エリアの傾向と、上位にランクインしている大学の特色を掘り下げていく。

 全体的な傾向として、関東甲信越と関西では私立大学が多くランクインしているのに対し、北海道、東北、中四国では国公立大学が上位に位置する傾向が見られる。国公立及び私立大学への進学志向については先月号の『カレッジマネジメント242号』(p76、77)でも触れたが、7エリアのうち関東甲信越と関西のみが私立志向が国公立志向を上回っており、特に関東甲信越はその傾向が顕著である。明治大学や早稲田大学、立教大学といった全国的に知名度の高い総合大学が、多様な分野で上位に位置している点が際立つ。

 一方その他エリアでは地元の国公立大学の人気が高いが、分野によっては私立である北海学園大学や東北学院大学、松山大学、福岡大学等が国公立大学を抜いて上位に入っていることが分かる。こうした私立の大学は幅広い学問分野を揃える総合大学であり、キャンパスへの交通アクセスの良さに加え、北海学園大学は法や経済、北星学園大学は英文学や国際、松山大学は経済等、それぞれの強みが生きた結果となっている。さらに北海学園大学、北星学園大学、東北学院大学は130年以上の歴史があり、それぞれのエリアにおいて伝統を兼ね備えていることも重要な理由の一つになっていると言えるだろう。

分野別に見た特徴

 次に、分野別ランキングの具体的な特徴を見ていく。

 「外国語・語学」と「リベラルアーツ・国際」分野では、関東甲信越では立教大学、北海道では北星学園大学が1位となっている。従来からグローバル人材の育成を重視してきた立教大学だが、異文化コミュニケーション学部の存在や留学生の積極的な受け入れといった動きが魅力となっているようだ。北星学園大学は文学部の存在に加え、2026年には「国際学部グローバル・イノベーション学科(仮称)」を開設(設置構想中)予定であり、今後さらに存在感が増す可能性がある。

 「生活科学・栄養」分野は、それぞれ特色を持つ大学が名を連ねている。その中で東海北陸1位の愛知淑徳大学は、2024年に食健康科学部に健康栄養学科と食創造科学科を開設している。最新の機器・設備を活用した教育体制や地域企業との連携を行っていることからも、高校生の注目を集めていると言えそうだ。

 近年人気が高まりつつある「芸術・表現」分野では、法政大学(デザイン工学部)、愛知淑徳大学(創造表現学部)、近畿大学(文芸学部芸術学科・文化デザイン学科)といった総合大学が健闘している。これらの大学は、テクノロジーやデジタル表現等の現代的なアプローチと従来の芸術教育の基礎を融合させた特色あるプログラムを展開しており、専門性の高い芸術系大学に引けを取らない存在感を示している。

 「保健衛生」も、他分野と比較して分野に特化した大学が上位となっている。関西の森ノ宮医療大学は2022年に改組を行い、看護学部、総合リハビリテーション学部、医療技術学部を設置し、多様なニーズに応えることでより多くの高校生の有力な選択肢となっているようだ。

 総じて、2024年度の志願動向からは、関東甲信越・関西における私立大学の優位性と、その他エリアでの国公立大学という二極化が明確であった。一方で、各分野において私立大学が独自の強みや個性を生かした改組や新学科設置を進めており、18歳人口減少期における「選択と集中」の重要性を示唆していると言えるだろう。

詳しいデータはPDFおよび 当サイト高校生「志願したい大学」を7エリアで発表『進学ブランド力調査 2024』をご覧ください。


(文/岡田 恵理子)




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