18企業・団体と連携し、フルオンラインインターンシップを開発/追手門学院大学

キャリア開発センター長・基盤教育機構教授 伊藤文男氏/キャリア開発センター・基盤教育機構大学常勤講師 大串恵太氏

検討会を4回開催し、活発に議論

 追手門学院大学では「WIL(Work-Is-Learning)」をコンセプトに、「行動して学び、学びながら行動する」スタイルで実践的な学修を全学で展開。インターンシップや企業連携型のプロジェクト等をはじめ、専門科目等においても多様な協働型学修を通じて学生の協調性や発信性、社会への意識を培い、将来のキャリア形成につなげている。とりわけインターンシップには実績があり、2001年から全学部で正課として実施し、2019年度夏期の提携社数は100社に上る。全学年に開かれており、近年は低学年を中心に多くの学生が参加。受け入れ先企業のリアルな課題に取り組む実践型プログラムも大学独自にコーディネートし、学生と企業双方から好評を得てきた。

 今年度はコロナ禍により従来のインターンシップの実施は中止に。しかし、「行動して学び、学びながら行動する『WIL』の姿勢を大学自身が率先して示し、学生の学びを止めないためにできることをやらなければ」と産学連携のオンラインインターンシップの開発を始めた、とキャリア開発センター長・伊藤文男氏は振り返る。約250社に呼びかけたところ、18企業・団体がプロジェクトに参画。「Zoom」による開発検討会を5月上旬から4回開催して学生の意見も取り入れながらプログラムを開発した。

2020年度オンラインインターンシッププログラム・タイトル一覧

今回のノウハウを広く活かしたい

 検討会に参加した企業・団体の業種や規模は幅広く、関西拠点のスタートアップ経営者団体「秀吉会」等初めての提携先も含まれている。「リモートワークの導入状況やビジネスの進め方も多様で、検討会での情報交換が有意義だったとの声をいただいています」と伊藤氏。実施が決定した12プログラムは「島根県雲南市の魅力発掘・発信」「高齢者・障がい者施設でのリモートリクレーションの開発実施」等多彩な内容。実施スタイルは「Zoom」や、提携企業・団体のアドバイスで大学に新たに導入した「Slack」等のツールを使ったフルオンラインだ。

 6月中旬に学生に告知をし、7月初旬にかけてオンライン説明会を開催して参加者を募り、8月中旬から提携先ごとにプログラムを開始。1、2年生を中心とした約45名が参加している。参加者は昨年度より少ないが、「新たな企画にチャレンジしてくれた学生たちだけに、例年以上に意欲的」とキャリア開発センター大串恵太氏。学生からは「社員の話から、社会人の考え方が分かった」「社員が1対1で話をしてくれ、勉強になった」という声が多く、「人と人との関係構築は、予想した以上にできています。『WIL』のコンセプトに共感し、積極的に学生と関わってくださる企業ばかりであることが大きく影響していると思います」と話す。

 島根県雲南市とのプログラムでは、祖母が住む雲南市の活性化に関西にいながらにして携われることに魅力を感じて参加した学生もいた。「遠隔地の人や企業と連携しやすいのはオンラインの大きなメリット」と大串氏。伊藤氏も「今回のノウハウを活用して地方企業や全国の大学との連携も進め、インターンシップに限らず、『WIL』のプログラム全体の可能性を広げたい」と取り組みに手応えを感じている。


(文・泉 彩子)


【印刷用記事】
18企業・団体と連携し、フルオンラインインターンシップを開発/追手門学院大学