3年生692名を対象に、6月中旬から「オンライン全員面談」を実施/麗澤大学

キャリアセンター 副部長 長谷川 善仁氏/キャリアセンター 課長 石光俊明氏

情報提供のタイミングを逃さない

 1学年約600名の小規模校の特徴を強みに「一人ひとりに合わせたフルオーダーメイドのキャリア支援」を目指す麗澤大学キャリアセンター。本格的な就職活動の開始を控えた3年生を対象に、2017年から「全員面談」を実施している。就職活動の早期化に伴い、学生の不安を取り除くとともに、意識形成を促すために始めた取り組みだ。学生との関係を深めるきっかけになっており、早い時期から学生一人ひとりの進路志向や人となりを把握したうえで、きめ細かなサポートを提供している。

 全員面談は例年4月のガイダンスで案内し、6月初旬から対面で実施してきた。今年度は新型コロナウイルス感染症の影響で構内立ち入り禁止となったが、全員面談については「コロナ禍だからこそ、やらなければと考えた」とキャリアセンター副部長・長谷川善仁氏は語る。麗澤大学では3月初旬からオンラインで進路相談や4年生対象の模擬面談を実施。4年生とは盛んにやりとりをしていたが、コロナ禍下で採用市場全体の変化が十分に把握できていない学生が多く見られた。「意識形成されているはずの4年生がこの状態なら、3年生にはより丁寧な情報提供を行う必要がある」と判断したという。

 そこで、本年度は6月15日より「Zoom」による全員面談を開始。昨年度までは30分の個人面談だったが、企業の夏期インターンシップの申し込みに間に合う時期に学生の意識形成を促したいと考え、迅速性を優先。なるべく多くの学生にタイミングを逃さず情報を提供できるよう、カウンセラー5名体制で、1枠につき学生最大4名・45分のグループ面談を行っている。

つながりを絶やさずひとりにしない

2020年度オンラインインターンシッププログラム・タイトル一覧

 「オンライン全員面談」は、2020年8月末時点で3年生692名のうち81.4%に実施が完了。開始が今年度より2週間早かった昨年度の実施完了率は9月末時点で82%だった。「募集開始とともに予約が入りました。例年よりも反応が大きく、コロナ禍下での就職活動に対する3年生の危機感の強さを表している」とキャリアセンター課長・石光俊明氏。母国に帰国している留学生の反応は少し遅れたというが、国外にいる学生にも支援が可能なのはオンラインのメリットだろう。面談を終えた学生からは「コロナで就職活動がどうなるか分からず不安だったが、安心できた」「麗澤大学の学生に合った、他にない情報を得られた」と好評だ。

  オンラインのグループ面談は「会話が一方的になりがちという難点はある」と石光氏。ただ、フォローは可能だ。面談そのものは随時受け付けており、例年多くの学生が全員面談をきっかけに個人面談を継続的に受けている。今年はキャリアセンターの「Zoom」を常時接続にし、いつでも予約なしで気軽に受けられる「オンライン窓口」を開設。長谷川氏、石光氏ともに「1対1であれば、学生とのコミュニケーションに大きな支障はない」と口を揃える。

 学生のキャリア支援において重要なのは「つながりを絶やさず、ひとりにしないこと」と両氏。全員面談後も学生には「LINE」やメールで情報提供を続け、就職活動の様子が見えない学生には必要に応じて電話もしている。例年年度末までには9割以上の3年生と面談を実施できており、教員とも連携して学生に呼びかけながら、文字通り「全員面談」を目指す。

(文・泉 彩子)


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