DXによる新たな価値創出[2]数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(MDASH)

 前回はDXの大前提であるデジタイゼーションから改革を進める事例として、早稲田大学・長野県塩尻市をご紹介した。今回と次回は連続して、DX関連人材の育成として、小誌230号(2021年10月発行)でご紹介した文部科学省の「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(MDASH)」の「リテラシープラス」について、採択校をピックアップし、その詳細を見ていきたい。その前提として制度の概観を整理する。

 MDASHは、全ての大学・高専で初級(リテラシー)レベルの数理・DS・AI教育を展開すべしとする政府のAI戦略2019(図1)に基づき整備された制度で、その目的に合致する優れた正規の教育プログラムを文部科学大臣が認定するものだ。現状、リテラシーレベル(2021年認定)と応用基礎レベル(2022年認定予定)がある。申請するプログラムは数理・DS教育強化拠点コンソーシアムが定めたモデルカリキュラムを参考に、相当する内容を全て受講・修了する仕組みになっている必要がある。また、リテラシーレベルのうち特定の要件を満たしたものをリテラシーレベルプラスとして認定している。要件の違いは図2に示す通りだが、特に全学生の50%以上という履修率の高さを担保する仕組み作り、大学の独自性ある取り組みになっているか等がプラスの要件として重要だと言えよう。2021年は78校がリテラシー認定、そのうち11校がプラスに認定された。


図1 数理・DS・AI 領域における人材育成ピラミッド


図2 MDASH リテラシーレベルとプラスの要件の違い


 どの高等教育機関にも等しく求められるAI・DS教育の展開における先行事例として、是非参考にしていただきたい。


(文/鹿島 梓)


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