進む初等中等教育の探究/青翔開智中学校・高等学校

【PROFILE】青翔開智中学校・高等学校

創立2014年/普通科/生徒数272人(男子105人、女子167人)/
進路状況(2022年3月実績)卒業生46人中、大学40人(海外大3人含む)、その他6人



画像 青翔開智中学校・高等学校 森川氏、田村氏


各教科の学びを、探究に生かせるように

図1 6年間の探究活動

 青翔開智中学校・高等学校は、鳥取市内に2014年に開校した私立の中高一貫校だ。建学の精神に「探究」「共成(共に成長する)」「飛躍」を掲げており、図1のように6年間の「探究基礎」の授業を展開。また、課題発見や課題解決に必要な資質・能力を「探究スキル」と位置づけ、他教科でもそのスキルを伸ばすことを重視して、授業の開発・実践を行っている。

 実は開校当時、「探究基礎」の授業は、高校2年生までの設計だった。高校3年生は受験など次の進路に向かう準備期間という想定からだ。しかし、それでは「探究」と「進路」を分けているようでもある。そこで全6年間のカリキュラムに再構築。探究を踏まえた進路支援にもより本腰を入れていく。高校2年次の個人探究では、生徒一人ひとりに担当教員がつき、1年かけて論文完成まで伴走するのだが、そうして生徒への理解を深めた教員が基本はそのまま進路決定までサポートすることにしたのだ(生徒の志望学部・学科によっては教員間で担当を引き継ぐこともある)。

 さらに同校は、大学等の合格実績(学部名等含む)を、各生徒の探究論文のテーマとセットで公表している。そこに込めた思いを進路支援主任の森川真吾氏は次のように語る。

 「探究活動に本気であることを知ってほしい、という思いが一つにはあります。また、本校としては『どの大学に行ったか』をアピールするつもりはなく、それよりも『各生徒がこの学校で何を学び、それを卒業後の人生にどう接続しようとしているか』を、世間の皆さんに見ていただきたいと考えているのです」。

探究活動による生徒の変容を全教員で共有

 「探究」と「進路選択」の接続を支えるのが、個々の活動の進展をこまやかに把握していくシステムだ。個人探究では教員1人につき3~5人の生徒を担当するのだが、それぞれの生徒と少なくとも週1回はディスカッションを行う。その際に教員側で見取ったことをクラウド上に記録できるフォーマットがあり、蓄積したデータはほかの教員とも共有。また、生徒のほうも月1回、アンケートに答えるようにして活動の進捗や困りごとをオンライン上で記録。生徒の了解の下、情報はオープンにされていて、どの教員でも確認できるという。こうした仕組みで、生徒がどんなテーマを追いかけ、どう成長したかを教員間で共有し、その探究的な学びを進路実現にも活かせるよう支援していくのだ。

 なお、生徒の月1回の報告では、探究活動における評価の観点をまとめたルーブリックも活用している。では、そのルーブリックは何を土台に作成されたのか。建学の精神である「探究」「共成」「飛躍」はどんな資質を伸ばせば実現するのか、その点を教員間で議論してまとめた図2の表だ。探究主任の田村幹樹氏によると、「ずっと使い続ける表というよりは、教員同士で『この力でいいのか』と話し合う材料にもして、適宜内容を変えていくもの」という位置づけだという。


図2 青翔開智の「育てたい資質」と「評価項目」


自分の関心や強みを生かせる進学先を志向

 その田村氏は、「今では生徒にとっても、探究が真ん中にあるな」と感じているそうだ。

 「授業だけでなく、それ以外でも、生徒が自分でやりたいことを見つけて、学外のプロジェクトに参加したり、プロジェクトを立ち上げたり、人を集めたりと、自発的な探究が学校の内外にあふれるようになったのです」。

 探究と進路選択が結びついた生徒も多い。探究論文で「カラフルらっきょうの販売方法」を模索した生徒が、食マネジメント学部に進み、「微生物燃料電池の発電効率」を研究した生徒が、生物資源科学部に進む、といったように。なかには一見つながらない生徒もいるが、その場合も「活動のなかで育んだ『探究スキル』が生きている」と森川氏は捉えている。

 「看護師を目指していた生徒が、鳥取出身で大好きな漫画家をどうしても探究したい、といってそのテーマに没頭したこともあります。その生徒は志望大学の看護学科に合格し、今は専門分野の探究をがんばっています」。

 6年間の探究活動で、自分の核となるテーマや強みを育んだ生徒が多いので、進路選択では、そのテーマを掘り下げられる大学や、総合型選抜などで強みを評価してくれる大学に挑戦する生徒が増えている。こうした探究を一層充実させられるように、田村氏は「高校と大学の単位互換など、高大接続でより特色のある教育を実現できるとうれしいです」という夢も思い描いている。


画像 授業風景



(文/松井大助)


【印刷用記事】
進む初等中等教育の探究/青翔開智中学校・高等学校