データで見る 高校生の今[2]進路選択での保護者とのコミュニケーション


図1 進路の話をするときに保護者がよく使う言葉、図2 進路選択についてアドバイスを難しいと感じる要因(アドバイスが「難しい」回答者/複数回答)


先行き不透明な社会。大学は入試制度等の最新情報の提供を

 前号(236号) の「データで見る高校生の今」では、高校生が進路選択において重視する価値観として「やりたいこと×何を学ぶか」が年々重要な決め手になってきていることを紹介した。今回はそれに引き続き、高校生の進路選択の重要な要因の一つである保護者とのコミュニケーションに関する調査結果をご紹介したい。

 リクルート進学総研と一般社団法人 全国高等学校PTA連合会が実施した『第10回 高校生と保護者の進路に関する意識調査2021』によると、進路の話題で保護者がよく使う言葉は、前回の2019年調査時トップの「自分の好きなことをしなさい、やりたいことをやりなさい」が7pt伸びる結果となった(58.6%)(【図1】参照)。一方、グラフには掲載していないが「勉強しなさい」「資格取得を目指しなさい」「いい大学に入りなさい」はそれぞれ2019年調査時よりも-11.1pt、-2.7pt、-2.6ptと減少した。さらに、「進路についてのアドバイスは難しい」と感じている保護者は継続的に70%程度存在しているが、その要因として「社会がどのようになっていくのか予測がつかないから」(53.1%)が前回調査から9.1pt増加してトップとなり、2位は「入試制度をはじめ最新の進路情報を知らないから」(51.1%)、3位は「子どもが何を考えているかよくわからないから」(22.5%)と続いた(【図2】参照)。

 これを受けて、保護者から「自分の好きなことをしなさい、やりたいことをやりなさい」と言われたときに高校生がどのように感じるのかという問いに対するフリーコメントを見ると「自分がどんな進路をとったとしても応援してくれると安心できる。」「私の意志を尊重しようとしてくれていることへの感謝と、頑張らなければいけないなと思う。」といった意見がある一方「余計、悩んでしまう。」「自分は将来何をしたいのかまだ定まっていないので逆に困る。アドバイスが欲しい。」といった意見があった。

 高校生の選択を重視しつつも、不透明性が高まる社会のなかで、最新情報が入手できず、アドバイスが難しい保護者の姿が見えてくる。大学には、最新の入試情報や入学後のキャリアサポート等の情報提供が期待されている。



(文/岡田 恵理子)


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