データで見る 高校生の今[3]高校生と保護者の未来社会への展望


【図1】これからの社会は好ましいか(全体/単一回答)、【図2】子どもにとって、これからの社会は好ましいか(全体/単一回答)


未来社会を「好ましい」と思う高校生は増加。「好ましくない」保護者とのギャップ拡大

 第3回「データで見る高校生の今」では、高校生、保護者それぞれの未来社会への認識に関する調査結果を紹介する。

 リクルート進学総研と一般社団法人 全国高等学校PTA連合会が実施した『第10回 高校生と保護者の進路に関する意識調査2021』によると、高校生にこれからの社会が自分にとって好ましい社会だと思うか尋ねたところ、「とても好ましい社会だ」が8%、「まあまあ好ましい社会だ」が50%を占め、合計58%が好ましいと回答した。時系列でみても「とても好ましい」が増加している。

 「好ましい」と回答している高校生のコメントには、「これから先、一人ひとりの個性を尊重した社会になると思うから」「様々な個性が認められたり、便利なことも多くなったりするのは良いと思うが、自分のように平凡な人間には何かできることがないといけないのではないかと思い辛くなるから」等が挙げられ、「好ましくない」については「AIなどの進化により、多くの仕事が失われる可能性があるから」「コロナの影響で先が全くみわたせないから」等があった。

 一方、保護者の「好ましい・計」(約39%)は高校生よりも低く、時系列でもやや減少する結果となり、高校生よりも未来を楽観視していないことが分かる。「好ましい」と答えた保護者は「以前より情報収集や発信が安易なこと。色々な価値観を認めていること。社会的価値観の変化していること」「情報を自分で調べて得ることができる。が理解力や行動力が必要なのでやる気を出してほしい」等のコメントが挙げられ、「好ましくない」に関しては「この国自体が今後どのようになるか分からないし、少子高齢化に歯止めがかからず、子ども達が負担を背負う気がするから」「現状維持すら難しい世の中でこの先明るい未来が来るとは到底思えない」等が並んだ。

 技術の進歩や多様な価値観に伴う不安や責任の捉え方の比重が、高校生と保護者間ではギャップがあるようだ。予測できない未来に対して、大学での学びや経験が、将来への期待を後押しするうえでどのように機能するのかを発信し続けることが重要と言えるだろう。



(文/岡田 恵理子)


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