データで見る 高校生の今[4]高校でのICT活用で生徒の学ぶ意欲向上も、情報活用と依存に課題


【図1】 教育活動へのICT活用状況(全体/単一回答)、【図2】 ICT活用への取組による生徒の変化(「ICT活用」実施校/各単一回答)


 第4回「データで見る高校生の今」では、高校生の日常に浸透するデジタル環境と高校生の意識の変化に関する調査結果を紹介する。

 小・中学校での1人1台端末、ネットワーク整備を掲げた「GIGAスクール構想」が2019年度の補正予算を皮切りに実現に向けて動き出したが、高校の現状はどうなっているのだろうか。

 リクルート進学総研が全国の全日制高等学校に対して実施した『高校教育改革に関する調査2022』によると、「学校全体で」「学年や課程・学科・コース・教科単位で」を合わせた「組織的対応・計」でICT を活用している割合は80%であった【図1】。さらに、ICT活用による生徒の変化として「そう思う・計」の割合が最も高いのは「学びに向かう姿勢・意欲が向上した」(42.5%)、次に「主体性・多様性・協働性が向上した」(41.6%)となった【図2】。

 加えて、内閣府の調査(※1) によると、高校生の98.9%が自分専用のスマートフォンを所有していることから、今の高校生は学校・日常生活ともにデジタル環境に置かれていることが分かる。

 また、リクルート進学総研の高校生対象の調査(※2)では、高校生が自分達世代の「強み」として挙げたものは、上位から「インターネット・SNS」(22.0%)、「IT・情報化社会・デジタル」(15.6%)、「情報の収集力・伝達力」(5.8%)であった。一方で、「弱み」として「コミュニケーション・会話が下手」(9.7%)、「インターネット・SNS への依存やトラブル」(5.8%)が上位となった。「ネットに慣れすぎて対面のコミュニケーションが苦手」や「スマートフォン依存など強みが裏目に出てしまっている」等の自由回答からもその原因が窺える。

 デジタルネイティブだからこその情報・人との付き合い方は彼らの世代を象徴する要素だが、それと同時に適切なリテラシーを身につけられるか否かが、学びや生活の豊かさに直結するとも言える。「ChatGPT」をはじめとした生成AIの拡大をみても、これらを使いこなすスキルを伸ばすと同時に、提供された情報をそのまま鵜呑みにしないことも重要だ。ツールとどのように付き合っていくかは、デジタルネイティブとそうでない世代にとって共通の課題であると言えるだろう。



(文/岡田 恵理子)


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