探究授業×ビジネスに興味・関心を持つ人を対象に、3つの受験型の総合型選抜を設計/桃山学院大学 ビジネスデザイン学部 総合型選抜


桃山学院大学 ビジネスザイン学部長 菊地昌弥氏


 桃山学院大学ビジネスデザイン学部(大阪府大阪市)では、2024年度入試より、総合型選抜を「SDGsプレゼン型」「探究・ビジコン活用型」「アトツギ型」という3つの型に分けて実施している。新たなビジネスを創造して社会課題を解決できる人材の育成を目指す同学部において、これら3つの型を設けた狙いや評価方法について、学部長である菊地昌弥教授に伺った。

主体的に課題を設定し、解決するビジネスを創造できる人材を育成

 桃山学院大学は、1884年に英国国教会の宣教師が設立した学校をルーツとし、1959年に「キリスト教精神に基づく世界の市民の養成」を建学の理念に掲げて開学、現在は6学部を擁する大学である。2025年には系列の桃山学院教育大学を統合して人間教育学部を、2026年には初の理系学部である工学部(仮称)を設置予定だ。

 ビジネスデザイン学部は、2019年に経営学部ビジネスデザイン学科として始まり、2021年より学部となった。「多様な人々とともに新たなビジネスを創造することによって社会課題を解決できる人材の育成」を目標とし、そのための教育として、70を超える企業・団体と連携し、その社員とともに、卒業までにおよそ40の課題に取り組むという実践的なカリキュラムが組まれている。「多くの課題解決型授業に取り組みながら、段階的・継続的にリーダーシップと課題解決に必要な知識・スキル、そして、課題を発見するための手法を学び、最終的には、自ら課題を設定し、それを解決する新規ビジネスのプロトタイプを作る。そうして新たなビジネスを創ることができる人材を育成します」と菊地氏は説明する。

 また、育成する人材の質を保証するためにカリキュラムの約75%を必修科目としている点や、課題発見力の育成に注力している点、課題解決型の学びにおいて都度、教員、連携企業・団体の社員、LA(Learning Assistant)として授業に入る上級生、そして、同級生の4者からフィードバックを受けることも特徴に挙げられる。

社会課題の解決、探究との接続、企業の後継者育成に資する入試を設計

 こうした教育目標と教育内容に接続させる形で、総合型選抜が設計されている。試験内容は3つの型で共通で、基礎能力検査(オンライン方式で受験する場合、調査書で代替)、プレゼンテーション、グループ面接、グループワークの4つ。プレゼンテーションにおいて発表を求める「ビジネスアイデアレポート」(事前提出)を3つの型に分け、人員を募集するという形だ。菊地氏は、各型の狙いを次のように説明する。

 「『SDGsプレゼン型』は、ビジネスは、関わる人がAll-Winとなる形式で社会課題の解決に資するべきという本学部の考えを背景に、自身のアイデアはSDGs に照らし合わせるとどこに関わっているのかをイメージするとともに、入学後、実際に取り組んでほしいという意図から設けている型です。

 『探究・ビジコン型』は、高校での探究授業や、ビジネスプランコンテストへの挑戦等の際に考えたアイデアを、本学部でどのように発展させるのかを考えてほしいということ、また、将来的にはそのアイデアを持って起業等にも挑戦してほしいという期待も込めて設けています。

 『アトツギ型』は、本学がある大阪府下において、中小企業の後継者不足が大きな課題であること、また、元々入学者に経営者や自営業の跡取りの方が多いこと等から、事業承継を担える人材を輩出して地域に必要な大学でありたいという狙いから設けています」

 採点は、育成を目指す人材像をもとに入学者に求める能力・資質を言語化し、その上で詳細に設定した評価項目に従って教員が行う。「一般入試等では測れなかった新しい発想を生み出す思考力やそれを伝える説明力、多様な人と協力してゴールにたどり着く力等を把握することができています」と菊地氏は胸を張る。

 そして、特徴的なのは、全ての受験者に対して、合否にかかわらず評価結果をフィードバックしていることだ。評価項目に沿ってレーダーチャートで示すとともに、特に優れていた点や改善が必要な点について、評価者からのコメントを記載(下図)。その意図を菊地氏は、「本人の評価結果と受験生の平均値をプロットすることで、自身の優れた点と他の受験生に比べて不足している点を自己分析できるようにしています。特に合格者には、自身の強みやどのような面でチームに貢献できるかを把握し、入学後、すぐにPBLで発揮してほしいという狙いもあります」と話す。学部の方針の一つである「世界標準のリーダーシップを学ぶ」において、各自の得意や強みを発揮してチームにプラスの効果を与えることがリーダーシップの要素として重要であるという考えがあるからこその期待だ。


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個々に異なる強みを持つ多様な学生が入学

 こうした選抜を経て入学してくる学生の特徴として、菊地氏は、「行動力や発信力、粘り強さ等に目を見張るものがあります。とりわけ、入学後のグループワークでダメ出しを受けても粘り強く食らいつき、他者を巻き込みながらゴールに向かっていく学生が多いように感じています」と話す。また、「評価項目を多様に設定しているように、学生が持つ強みも多様。それは、現代の複雑な問題を解決するにはたくさんの素養が必要で、それぞれを補い合う多様性がチームの中には必要であるという実態にも合っています」と続ける。

 今後の課題としては、高校に対する広報のあり方が挙げられるという。「探究授業等高校での学びと私達の教育にギャップを感じて『うちの生徒をこの大学に送り出すのは難しい』と先生方に思われるのはもったいないこと。LAや様々なキャリアを持つ教職員が学びをサポートしていること等を伝え、心配なく入っていける学部だと感じてもらえるような広報をしていきたいと思っています」と菊地氏。そして、「自主性と、世の中をより良くしたいという意識を持っている学生を十分に伸ばしてあげられる組織であり続けられるよう、世の中の情勢の変化を踏まえながら課題を解決できる人材にはどのような資質・素養が必要なのかを分析し続け、教育と入試に反映させていきたい」と今後を見据えている。



(文/浅田夕香)


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