高校生の声/「地元内・地元外」の選択

 「進学先を選ぶこと」と「地元に残ること・地元を出ること」について、高校生自身はどのように関連付け、意思決定しているのだろうか。
今回、2024年4月から新たに大学に進学した学生達にアンケートを実施し、高校段階での選択の背景について尋ねてみた。
なお、今回の調査における「地元」への進学とは、「自宅がある場所から通学できること」、「地元外」への進学とは、「自宅から通えないので引っ越した」としている。


■調査概要
調査期間:2024年4月1日(月)~ 4月4日(木)
調査方法:インターネット調査
調査対象:全国の4年制大学・短期大学1年生(調査時点)
     有効回答数:520人(男128人・女385人・その他7人)
     三大都市圏(東京・埼玉・千葉・神奈川・愛知・京都・大阪・兵庫)の高校出身者 254人


地元進学希望者の多くが希望を叶えた状態

 今回の調査においては、地元の学校に進学した学生が約7割、地元外の学校に進学した学生は約3割という結果となった。そのうえで、進学先検討段階における「地元進学/地元外進学」の意向を尋ね、現在の状況が本人の希望・意思に対して本意であったのかどうかを見てみた。(図1)

 結果としては、地元内進学者のうち、「もともと地元進学を希望していた学生」は8割に上った。(回答者の女子比率が高いことも影響していると考えられる)


図1 地元内進学者の8割が「もともと地元で進学したかった」

地元・地元外決定のカギ「一人暮らし」

 図2に挙げたのは、「地元進学を志向する理由」と、「地元外進学を志向する理由」に対する自由回答と、自由回答をテキストマイニングし可視化したものである。


図2

 いずれも、「一人暮らし」という言葉が頻出している。具体的な回答をみても、地元進学希望者の場合は一人暮らしに対する不安が多く、地元外進学希望者は、一人で自立してみたいという意欲が散見された。地元に残るにせよ、地元外に行くにせよ「行きたい学校がそこにあるから」や「学びたいことがそこにしかないから」といったコメントは、今回の調査では極めて少数であった。

 地元外からの学生の流入は、学生の日々の生活ごと受け入れるということだ。大学や地域が協力して、学業だけでなく、暮らしへの不安を解消し、自立を支援する姿勢を示すことが大切だといえそうだ。




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