学部・学科トレンド2013(カレッジマネジメント Vol.179 Mar.-Apr.2013)

企業では、マーケティング戦略のベースとして「プロダクトライフサイクル」という考え方があり、それぞれの時期(ステージ)において適切な戦略をとることが生き残りの鍵とされている。本誌では、大学の「商品ラインアップ」にあたる学部・学科のトレンド分析を152号(2008年)、162号(2010年)の2度にわたって特集し、大きな反響を頂いた。

中長期的に学部・学科のトレンドを見ると、社会環境の変化や人材ニーズの変化に伴い、まさに商品と同じような「ライフサイクル」が存在している。

 今回は、1992年~2012年の20年間にわたる推移を4年刻みで集計し直し、長期的な視点で分析を行った。この間の時代背景を見てみると、バブルの崩壊、18歳人口の減少、山一ショック、少子高齢化、ICT化、リーマンショック、急速なグローバル化、東日本大震災など、社会の人材ニーズの変化に大きな影響を与えるような出来事や環境の変化が起こっている。また、今回は人材ニーズや受験生の志向が異なることが考えられる、大都市圏とローカルエリアを比較した分析も追加した。

 全体としては、工学部離れが言われた時代から一転し、人気が復活。また、資格取得が仕事に直結する医療系や教育系の分野で、志願者の増加が著しい。そして、グローバル化を反映して、外国語が再成長分野に移行している。

 事例では、学部・学科の不断の見直しを続けることで、志願者の増加に成功している大学を取材した。どのようにマーケットを読み、誰がどのようなスピード感で意思決定をし、そして規模が拡大するなかで何を大事にしたのかに注目している。

 折しも、大学の設置認可のあり方を議論していた文部科学省の有識者会議の報告書には、大学・学部の新設を行う際には、学生確保の見通しについてより明確に示すことが記された。再び18歳人口の減少フェーズに入る前の今こそ、大学の将来を見据えた商品ラインアップのあり方を検討する好機ではないだろうか。

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リクルート進学総研所長・カレッジマネジメント編集長

小林 浩

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