金沢星稜大学 グローバルコモンズ

金沢星稜大学 キャンパス外観



 金沢星稜大学(以下星稜)グローバルコモンズは、2016年4月に開設した人文学部国際文化学科の活動拠点である。1967年金沢経済大学として認可された星稜だが、立地する北陸エリアは地理的に北東アジアに近く、国際貿易や経済連携の動きも多い。新学科はそうした背景も踏まえ、アジアを中心とした国際視座を持つ人材養成を目的に設置された。

 新学科の大きな特長は「早期留学」。即ち、1年次後半~2年次前半に実施される4~8カ月間の海外留学である。留学形態は難易度が高い順に、学部留学(現地学生と学部専門科目を受講)、Bridging Course(学部科目を受講するための準備)、EAP(アカデミック英語を受講)、語学研修(一般英語コースを受講)の4種類。留学に備え、1年次前半はESP(English Step-up Program)と呼ばれるレベル別英語教育で、文字通り英語漬けの日々を送る。クォーター制導入により、短期集中型で1科目あたりの学習密度を濃くしているという。初年次基礎ゼミの担当教員と国際交流課職員が丁寧に学生の希望と学習状況を話し合い、最終的な留学先を決定し、送り出していく。ガイド役となる国際交流課は全学生の留学サポートを行うため、留学経験者で構成された部署である。このご時世、治安等に関する不安も多いうえ、新学科は女子比率が8割以上と高い。「初めての海外渡航が留学という学生もいます。やはり保護者の方の心配も多いので、危機管理会社と提携しながらケアしています」と、同課井下桂子課長は話す。

 帰国後はいよいよ比較文化・観光・英語の3学系に分かれ、多くの専門科目を英語で学んでいく。卒論も英語である。「早い段階で経験を積み、海外ならではの刺激やハングリー精神に触れ、自主性やチャレンジ精神を培ってほしい」との言葉通り、早期の留学体験が3年次以降の学習へのモチベーションにもつながるのであろう。まずは国際言語としての英語をツールとして十分活用できるようになってから、海外で異なる文化を学び、その体験をもとに学問を深め掘り下げていくのである。

 グローバルコモンズは、多様な国籍や文化背景の学生が共有し、共に学び、交流できるスペースとして、「地球」をコンセプトに据えている。海や空のように、地球上の誰もが所有はできないが共有している資産をイメージし、そこかしこにアースカラーが散りばめられ、落ち着いた雰囲気が漂う。4階構成の建物の1・3階は小・中教室が配置され、2階にはラーニングコモンズと多目的教室が、4階には大教室と情報教室、和室等がある。教室や案内板は全て英語と日本語で併記され、日本語を学んでいる留学生のために、漢字にはふりがなが振ってある。在学生と留学生の交流イベントが多数催され、自然な交流が生まれる空間となっている。

 星稜の広報コンセプトは「自分を超える力をつける」。就職実績に定評のある星稜ならではのメッセージだが、「これまでの自分を超える可能性を追求してほしい。そのための環境や機会を整えるのが本学の使命です」と、宮一拓克広報課長は話す。新学科の学びを通じて自らと国のボーダーを超え、しなやかに活躍できる人材が輩出されることを期待したい。



金沢星稜大学 キャンパス外観

キャンパス外観。



金沢星稜大学 「パサージュ」

キャンパス入口。



金沢星稜大学 吹き抜け

吹き抜けの様子。



金沢星稜大学 吹き抜け2

建物中央の吹き抜けの底には、星稜の星マークが。



金沢星稜大学 ラーニングコモンズ

2階ラーニングコモンズ。芝生のような絨毯が敷き詰められ、ソファや円卓が配置されている。飲食可能なスペースでカフェバーや電子レンジ等も用意されている。



金沢星稜大学 小教室

小教室(定員18名)が6室、中教室(定員35~48名)が13室用意されている。



金沢星稜大学 1階会議室

1階会議室は、海外協定校との打ち合わせに利用される。



金沢星稜大学 4階和室(群青の間)

4階和室(群青の間)。茶道等、日本文化に触れる活動が行われる。



金沢星稜大学 石庭

和室の外には石庭があり、日本文化の趣を感じさせる。



金沢星稜大学 屋上デッキ

屋上デッキにはサークル状の椅子が配置され、学生がひなたぼっこしながら会話を楽しむという。2年前に開通した北陸新幹線がよく見える。



(本誌 鹿島 梓)



【印刷用記事】
新世紀のキャンパス/金沢星稜大学 グローバルコモンズ