新世紀のキャンパス 寝屋川キャンパス3号館/摂南大学
校地面積が約1.4倍に。一段と広がったキャンパスの可能性
1975年に工学部5学科からスタートした摂南大学は、現在、大阪府の寝屋川市と枚方市に2つのキャンパスを設置し、文系・理系・医療系の9学部17学科、大学院7研究科を擁する総合大学へと発展した。
2015年10月、開学40周年記念事業の一環として、寝屋川キャンパス(正門前)に隣接していた日本ペイント株式会社寝屋川事業所用地を取得。これにより校地面積が約1.4倍になり、2025年に迎える開学50周年に向け、学部・学科の再編をはじめとした教育プログラムの充実や課外活動の活性化が加速、キャンパスリニューアル計画がスタートした。
主体的・協働的な学びの場を充実
キャンパスリニューアルの手始めとして、取得した敷地にラグビー等の多種競技ができる人工芝グラウンドを2020年4月に竣工したほか、同年11月に約190席の観客席やトレーニングルーム、ミーティングルーム等を設けた部室棟を新設した。同時に老朽化した3、4号館を取り壊して中庭を広げ、旧グラウンド跡地にキャッシュレス決済にも対応した食堂やグローバル教育の拠点となる新2号館を竣工した。
加えて2023年4月、本学9番目の学部となる「現代社会学部」の開設に伴い、地上3階建て、延べ床面積約1万2000㎡の新3号館を竣工した。同館のコンセプトは、「学生・教員が自由に学びあう場」。そのコンセプトを最もよく表した施設が、1階と2階2層吹き抜けの1000㎡を超える「ラーニングコモンズ」である。広々とした開放的な空間は、自主学習やグループディスカッション、アクティブラーニングの場として、自由に活用できる。2階、3階にも学生が居場所を見つけて好きな場所で学び過ごせるよう、個人・グループ、様々なシーンに応じて利用できる共用スペースを設けている。建物内の教室の特徴としては、廊下との仕切りをガラスパーテーションにし、共用部からも講義やゼミの様子を伺うことができるようにした。また、建物の中央部にベンチやプレゼンスペースとしても利用できる中央大階段を設置したほか、各階をつなぐ階段はフロアを見渡せるオープンな造りとしたことで、お互いの存在を認識し、日々異なる出会いと発見、刺激を生み出す空間を形成している。
1階の311教室(500人収容)は、講義に加えて講演会や演奏会、催し等の利用も考慮し、ホールのような教室空間とした。キャンパスの新しい玄関口となったバス停と隣接していることも踏まえ、階段状の広場を整備して外部から311教室へ直接出入り可能な造りとしている。新3号館外壁の帯のカラーには、既存棟のアクセントカラーと調和するブラウンとスタイリッシュな濃グレーを取り入れ、分野を越えた横断的な学びと歴史の積み重ねを表現。本学の教育の理念を具現化したシンボル性の創出を図った。
スポーツクライミング競技の拠点が誕生
2024年2月には、体育会スポーツクライミング部の練習場所として、敷地西側にリード競技用のクライミングウォールを設置した。高さ12m、幅3mの壁を2基有し、それぞれ国際規格を満たすルートを設定できる。今後、大会やイベントを実施することで、スポーツクライミング競技の拠点となることが期待される。
「人間力と実践的能力をもち、多様な人々と協働して社会に貢献できる人材を育成する。」という教育の理念のもと、学生や教員が交流を図りながら成長できる環境を引き続き整えたい。
(文/摂南大学)
東面外観。コンセプトは「学生・教員が自由に学びあう場」
壁面ディテール
グラウンド(人工芝)。400mトラックと跳躍競技専用コースを完備。
ラグビーの公式戦で定められたフィールド寸法を確保した1万6000㎡の広さに
LEDスコアボードも設置され、公式競技の場としても利用できる
全景。キャンパスの新しい玄関口となったバス停に隣接。階段状の広場からも311教室に出入りすることができる
まっすぐに伸びた天井のラインが印象的なエントランスホール。
左右の空間との仕切りをなくし、オープンな大空間が広がる
3階共用スペース
2階共用スペース
2層に広がるラーニングコモンズ。机や椅子等を自由にレイアウトでき、
照明は時間ごとに自動調整され、シチュエーションに合わせて照度が切り替わる
ラーニングコモンズ
明るく開放的な大教室
建物中央にある大階段。学生同士のコミュニティの場であるとともに、
オープンレクチャーや研究室の活動展示スペースとしても利用できる
1階311教室(500人収容)
ガラスのパーテーションで仕切られた教室と廊下
移動動線を通路としてだけでなく、空間として利用できるようにラウンジを兼ねた廊下に
キャンパス西側に設置されたクライミングウォール
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