茨木総持寺キャンパス/追手門学院大学

追手門学院大学キャンパス


 学校法人追手門学院は2018年に創設130周年を迎えた。その記念事業の大きな目玉として大阪のJR総持寺駅にほど近い場所に開設されたのがこの茨木総持寺キャンパスである。追手門学院大学の6学部全ての1年生と、地域国際学部と国際教養学部の2学部については4年生までが一堂に学ぶ「アカデミックアーク」は、逆三角錐形が印象的な地上5階の建物である。また、同じキャンパス敷地内に、併設校の追手門学院中・高等学校の校舎「スマートパレット」と食堂棟も並ぶ。

 行動しながら学び、学びながら行動する『WIL(Work-Is=Learning)』という追手門版の新教育コンセプトをさらに推進し実現するため、学生の主体的・実践的な学びを醸成する設計思想のもとに造られている。アカデミックアークの1階中央部のWILホールは、約250席を配し、あらゆる学部の学生達が交流して互いに学び合うことを可能にするラーニングスペース。朝は1時限目が始まる1時間前から多くの学生が集まって活気づき、資格試験対策が大詰めの時期には、夜11時近くまで合格を目指して勉強に取り組んでいるという。WILホールを囲むように設置される4つのWILスタジオは、英語学習や地域課題解決のPBL学習等の学修目的を、自由な討議や講義によって実現するための場所である。さらに、「ディスカバリープロムナード」と称された2階~4階の廊下部分の書籍棚には約4万冊の図書が並び、建物の中心部に当たる3階~3.5階の図書館には約10万冊の蔵書を有する。また電子書籍システムも導入しデジタル図書を自由に利用できる。日常の中で学生の知的好奇心を触発し、学習行動を促す仕掛けとなっている。

 中・高の校舎「スマートパレット」も、生徒の個性を引き出す教育の実現を目指し、教室を隔てる壁を可動式にしたり、全フロアに図書を配置。効果的な探究学習を実現している。

 同学院理事長の川原俊明氏は、「この新キャンパス開設には、2012年に実施したガバナンス改革の成功が背景にある。理事会と教授会がうまくかみ合い、良い大学運営が実施できている。経営の意思決定も早く、改革を前に進めようという機運が高まっている」と話す。

 さらに今後については、1万人規模の大学を目指し量的拡充を図りながら、教育の質を高める戦略を立案・推進し、選ばれる大学を目指すという。「新キャンパス設立は、教育を次の新たなステージへと昇華させていく契機。教育も経営も、従来の既定路線の上には次の未来はないと考えている。既に、新しい先端分野の学部新設に向けて始動している。理系や大学院の教育研究の充実や、リカレント教育、留学生の獲得強化等グローバル化の展開も視野に入れた、次の長期計画もまもなく打ち出す。教育の質保証をさらに図り、先行き不透明な未来を開拓していくイノベーティブな力を持つ人材を追手門から生み出したい」(川原氏)

 経営的にもイノベーションを行い、教育においてもイノベーション人材の育成を目指す大学。その次なる改革に注目したい。



追手門学院大学「アカデミックアーク」

大学の校舎「アカデミックアーク」の外観。逆三角錐形が印象的。建築業界でも高い評価を得ている。3158名*の学生がこのキャンパスをメインに学ぶ。(*2019年5月1日現在)


追手門学院大学「アラムナイライブラリー」

図書館「アラムナイライブラリー」。3階と3.5階の二層構造となっており、内部中央は吹き抜けとなっている。


追手門学院大学「アラムナイライブラリー」3.5階

集中して学習や図書の閲読ができる、図書館3.5階部分のサイレントゾーン。


追手門学院大学「紀伊國屋書店」

1階には紀伊國屋書店も入っている。


追手門学院大学「ディスカバリープロムナード」

廊下部分「ディスカバリープロムナード」。壁に沿って作られた書棚にズラリと書籍や雑誌、卒業生が制作した作品等が並ぶ。電源完備の学びのスペースでもある。


追手門学院大学「WILホール」

1階中央にあるラーニングスペース「WILホール」。全ての学部の学生が集い、語り合ったり学んだりと思い思いに利用する。イベントにも活用される。上部に光る部分は、図書館「アラムナイライブラリー」。3階から宙吊りされる構造で建物の中心に存在している。


追手門学院大学ディスカバリープロムナード

ディスカバリープロムナードから見える1階のホール。


追手門学院大学「グローバルスタジオ」

1階に4つあるスタジオのうちのひとつ「グローバルスタジオ」。国際教養学部の先生がプロジェクトに使ったり、常駐する英語のネイティブ教員によるプログラムを提供する施設「E-CO(EnglishCaf at Otemon)」を実施する。この他、地域創造学部が主に活用する「PBLスタジオ」ほか、1階には4つのスタジオがある。


追手門学院大学「スマートパレット」

中高棟「スマートパレット」。中高大がワンキャンパスにあることで、教員や学生・生徒の交流等が身近に。


(文/金剛寺 千鶴子)



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