寝屋川キャンパス新棟/大阪電気通信大学

大阪電気通信大学 キャンパス外観



 大阪電気通信大学は2021年に学園創立80周年を迎える。起源である東亜電気通信工学校は1941年に電子工学や通信工学など電気通信技術を学ぶ学校として創設された。建学以来、他大学に先がけて実学を身につけた有為な人材を育成しており、特に原点である情報教育に大きな強みがある。

 新しい時代の学びに向け、学園創立80周年記念事業の核として、寝屋川キャンパスの大規模リニューアルを2016年より開始。2020年6月にキャンパス中央に新棟「OECUイノベーションスクエア」の西側半分の第1期エリアが竣工した。このリニューアルは、単なる建物の刷新に留まるものではなく、教育環境そのものを大きく変えることにより教育の質を改革するためのものだ。「フルオープンな学びのスペース」をメインコンセプトに掲げ、従来のクローズド型環境とは全く異なる、全ての点においてオープンな空間となった。

 建物の中央に設けたパサージュ(大通り)に、キャンパス全体の動線を集約し、学生、教職員の垣根を越えたあらゆる人達の、新しいコミュニケーションの流れを生み出している。パサージュに面して、オープンな研究室、大小様々なラウンジやプロジェクトルームを設置し、自然光あふれる健康的な空間となっている。第2期エリアが竣工すると、このパサージュは長さ約130m、幅10mとなり、講義室や図書館からなるJ号館、食堂や売店が入るZ号館など学生がよく利用する既存棟とデッキで接続させる予定で、学生の利便性が高まり学びの質も向上するだろう。

 学生が集まる1階のメイン通りには、学務部、就職部、国際交流センター、資格学習支援センターなどの学生支援の窓口エリアがあり、学生が気軽に声を掛けやすいハイカウンターや、個別の相談などじっくり話を聞くためのローカウンターを設置した。

 2、3階には研究室、実験室、教員室といった教育研究施設エリアを構成。研究室は、広いワンフロアを壁ではなく家具で間仕切る設計となっており、隣の研究室の学びを感じ、刺激を受けることができる。学部学科の枠を越えた学生や教職員の交流が盛んに行われる、新たな教育・研究環境となることを期待している。

 また、各研究室からパサージュへ出るエリアには各学科専用の学生ラウンジを設けている。この場はマグネットスペースとしての役割があり、ミーティングなどのように時間を決めて集まるのではなく、「人が自然と集まってくる空間」であるところがポイントだ。より活発なコミュニケーションのなか、学生の自由な発想が生まれる空間になるだろう。

 「OECUイノベーションスクエア」は、2022年春に東側半分の第2期エリアが竣工すると、地上3 階、延床面積約1万9500㎡の教育研究施設となる。寝屋川キャンパス大規模リニューアルは、2023年に完成する予定だ。80年にわたる歴史と伝統を踏襲しつつ、時代の変化に先駆けた取り組みで実学と情報教育の強みを発揮し、これまでにない価値とコミュニケーションを創出。学びの形を進化させていく。



大阪電気通信大学 キャンパス外観

新棟「OECUイノベーションスクエア」の西側外観。開かれたコミュニケーションを生む、ゆるやかな大階段が象徴的。



大阪電気通信大学 「パサージュ」

交わりの象徴としての「パサージュ」。この開放的な空間に面して研究室やプロジェクトルームが配置されている。



大阪電気通信大学 「i Lounge」

1階出入口近くにある「i Lounge」。木製の家具とペンダント照明のある落ち着いた空間。



大阪電気通信大学 「WEST Area」

学生サポート窓口が集まる「WEST Area」。学生や教員だけでなく、職員も風通しが良くなる開放的な事務エリア。



大阪電気通信大学 「Project Rooms」

大小様々な「Project Rooms」。部屋の名称は国際単位系の接頭語であるpico(10−12)やnano(10−9)など理系大学ならでは。



大阪電気通信大学 実験室

ガラス張りになっており、廊下から中の様子が見えるオープンな実験室。



大阪電気通信大学 研究室エリア

柱や壁を取り払った研究室エリア。家具で間仕切りすることにより学びの「見える化」を図る。



大阪電気通信大学 学生ラウンジ

各学科の研究室出入口に設置されている学生ラウンジ。オープンキッチンが備え付けられており、それぞれの学科に合わせて家具や配置が異なる作りになっている。



大阪電気通信大学 「da Vinci」

学生ラウンジ「da Vinci」。飽くなき好奇心を原動力に多種多様な分野を探求した、偉人レオナルド・ダ・ヴィンチから命名。3階の実験室エリアにあるガラス張りのラウンジで、学生達の横のつながりを生む空間になっている。



(文/上野紗綾(学校法人大阪電気通信大学 広報部))



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寝屋川キャンパス新棟/大阪電気通信大学