2021年&2022年入学者に聞いた 入試方式決定の理由と意思決定プロセス
受験校の絞り込みをはじめ、進路決定行動自体が早期化する傾向において、一人ひとりの高校生は、何を起点に、何を重視して、どのように意思決定しているのだろうか。2021年・2022年に年内入試で第1志望校への入学を果たした2名の学生に高校時代の進路検討を振り返ってもらった。
●総合型選抜と一般選抜の併願
様々な活動へのチャレンジが
学びたいこと「都市学」との出会いへとつながった
総合型選抜を受けてみたら?と先生から声がけ
勉学だけでなく人と違うことにチャレンジしてみたいという気持ちがあり、高校入学後様々な学外活動(マイプロ・ワークショップ・サマーキャンプ等)に参加していました。その活動や出会いから、卒業後は「都市学」を学びたいと強く思うようになり、地方自治体等と連携し空き家利活用の具体的なモデルの構築を研究しているゼミを見つけ横浜市立大学への志望を決めました。当然一般選抜受験するつもりだったところ、先生から「多様な活動経験を活かして、総合型選抜にチャレンジしてみたらどうだ?」と声がけがありました。それまで全く考えていなかったのですが志望校の出願要件をクリアしていたことから、チャンスは多いほうがよい!と受験することを決めました。
総合型選抜と一般選抜の併願は心理的負担大
高3の6月ごろに志望校を横浜市立大学に決めたので時間的余裕がないなか、先生が過去問を冊子化してくれたり、面接や入試対策をかなり手厚くフォローしてくれました。横浜市大で学びたいという気持ちが強かったので、併願はせず1校に絞り年内入試と年明け入試両方受験することを想定し対策しました。いざ準備を始めると「年内で合格したい…でも年内入試の対策ばかりしたら一般選抜が危うくなるのではないか」という不安を感じることも多くメンタルがきつかったです。そんな時も先生が「とりあえずやってみて!」と場数を踏めるように指導してくださり試験に臨むことができました。先生には本当に感謝しています。
地元から出て学ぶ日々は刺激的!
年内入試で合格してから入学前までは「都市学」についての本をたくさん読んで入学後に学びたいことや考えを深める時間を過ごしました。2年から希望通りのゼミにも入り、今夏、地元石川での街づくり合宿に3週間くらい参加しました。さらに研究テーマを深めるヒントがありました。
地元を出たことで多様な出会いがあり楽しい毎日です。今の学びが自分の将来にどうつながっていくのか色々悩みながら、いつか地域復興や町おこしで地元に貢献できるよう頑張りたいと思います!
●総合型選抜と一般選抜の併願
高1~2年での留学経験が進路検討の起点
入試対策プロセスのなかで「研究テーマ」が明確に
高2夏に入試方式決定
高1の夏からアメリカに留学し、高2の夏に帰国。「留学経験自体を生かせる入試方式」として推薦・AOを選択しようと考え、予備校で総合型・学校推薦型選抜の準備に入りました。高校が留学者に推薦という方法を勧めていたということもあります。
当時は、大学で学びたいテーマについては漠然としていたのですが、自分は留学でどういう経験をし、そこから何を学び、今後何を学びたいのかということと、大学を志望する理由を接続して論理的に記述できるようにする練習をするなかで、明確になっていきました。最終的に志望校が決まったのは、高2の3月か高3の4月ぐらいです。
その過程では結構心が折れそうになることもあったのですが、留学経験者はたくさんいるなかで、「留学したこと自体」が武器ではなく、「『留学で何を学んだか』が大事」という気づきは大きかったですね。
総合型選抜併願「3校は少ないほうかも」
総合型選抜に絞り、3校に出願しました。最初に1校を受けて合格をもらい、心が軽い状態で本命校を1カ月後に受け、結果的に一番行きたい大学に決定しました。友人のなかには10校ぐらい併願したり、関西の大学まで受けている人もいました。また学校推薦型と総合型と両方の推薦パターンを併願する人も多かった気がします。
専願だと、1年間紡いできた自分の研究テーマが爆発できなかったらそれで終わり。総合型選抜の準備と並行して一般入試の勉強もするように言われましたが、一般のみに絞って頑張ってきた人に比べると不利になりますよね。なので僕はAOのためだけに走り切ったという感じです。僕がいた留学クラスの友人は全36人のうち、一般にチャレンジしていたのは4、5人ぐらいだったと思います。推薦で考えている人が多かったので、かなり早い段階から受験ムードみたいな感じがありました。
大学入学時点からアドバンテージ
AO入試のための準備は人間的成長につながったと感じています。入学時点から自分が何をしたいのか明確になっていたので、授業の選択に迷うこともありませんでした。また、自分が将来どうなりたいか、そのために大学でどのように学べばよいかという道筋が早くから見えているというのはすごいアドバンテージだと思えますし、就職時にも役立つと考えています。