変化の激しい時代の大学経営を学ぶ通信制大学院/桜美林大学大学院国際学術研究科 大学アドミニストレーション実践研究学位プログラム
大学を取り巻く環境が激しく変化する時代において、大学職員が経営を支える存在になるために、どういった力を身につけるべきなのか。大学院レベルで大学経営を学ぶ桜美林大学大学院国際学術研究科 大学アドミニストレーション実践研究学位プログラムのプログラム長・大槻達也氏に、これからの職員に求められるもの、そして同プログラムの学びの内容について話を聞いた。
全国から大学職員が集まる大学院通信教育課程
大槻教授が担当するプログラム、通称「大アド」には、通信教育課程ということもあり、全国から多くの学生が集う。学生の9割近くは国公私立大学の事務職員。残りの1割は大学教員、高校もしくは専門学校の教職員、文部科学省を含む行政の職員や教育関連企業の社員等で構成されており、過去にはジャーナリストが学んでいたこともあるという。
学生を世代別に分けると、最も多いのは30代~40代。大学に入職し自身の仕事を一通り覚えたことを踏まえ、大学全体についてより体系的に学ぶこと、また大学を外の視点から捉え直すことを目的に学ぶケースが多い。次に多くを占める40代~50代になると目的は変わり、管理職となったことで若い頃とは違う尺度で大学について学ぶ必要性を感じ入学する学生が多い。さらに、民間企業から大学に中途入職した場合、一般企業とは異なる独特の世界を持つ大学という組織そのものを学ぼうという学生も多いという。
教員の多忙化を防ぐためにも職員の資質向上は不可欠
「国公私を問わず大学の経営環境は非常に厳しくなってきています。一方、変化の激しい時代のなかで大学に対する社会の期待は非常に高まっており、有意義な教育・研究によって社会に貢献することが求められています。その実現のためには、経営層だけでなく職員一人ひとりが経営判断を支えるような力を持たなければなりません。また最近は、学生優先、スチューデントファーストの意識が強まっており、その実現のためにも教職協働が必須だといわれています。それは単に教員と職員が協力するということだけではありません。教員が多忙化する傾向にあるなか、職員がいかに多くの役割を担うかということ。そのためにも、一人ひとりの職員が力をつけていくことは不可欠だと思っています」
自分と違う環境にいる人から学ぶ機会
では、具体的に何をどのように学ぶのか。大槻氏は大きく二つを挙げる。
一つ目は、高等教育システムに対する知識や理解を深める学びだ。高等教育の歴史や政策・制度、大学経営に加え、自分の大学の立ち位置を強みや弱みも含めて知ったうえで、地域の状況や設置学部の関連業界の実状にいたるまで、広く知識を持つことだという。
もう一つは、授業での発表やレポート・修士論文執筆等を通じ、正確な知識に基づいて論理的に思考することや、分かり易く説得力あるプレゼンテーションを行う能力や技能を身につけることだという。
「大学側には体系的かつ計画的にSDを行うことが求められていますが、中小規模の大学は研修にまで手が回らないのが実状。そこで、私達のような大学院で体系的に学ぶことも一つの方法です」
特に有意義なのは、自分と違う環境にいる人から学ぶことができる点だと大槻氏は話す。「“他人の飯を食う”という言葉がありますが、大学院において他大学の職員、あるいは文部科学省等の職員と切磋琢磨し、異なる視点からものを見ることは、多くの気づきにつながります。実際、在学時はもとより、修了後も、他大学職員とのネットワークによる交流も生まれています。そうした機会を通して自分の大学を相対化して、その強みや弱みを知ることとともに、競合校について知る、学生について知る。そうした発想が必要なのだと思います。これからは大学同士が連携していかなければいけない時代になると思います。大学職員も、そうした動きに適応できるマインドを身につける必要があると思います」
大学側には、意欲を持って入職する若い職員達がモチベーション高く働けるよう、働き方や職場環境を大胆に見直し組織開発を進めることも求められる。
「学ぶうえで壁となるコストや時間、アクセスといった問題をできる限り軽減し、大学組織全体で学びを支援するような体制づくりもさらに重要となるでしょう」
(文/髙橋晃浩)
【印刷用記事】
変化の激しい時代の大学経営を学ぶ通信制大学院/桜美林大学大学院国際学術研究科 大学アドミニストレーション実践研究学位プログラム