新世紀のキャンパス 五橋キャンパス/東北学院大学
「都心型キャンパスというからには、一棟建ての高層キャンパスだと思ってきましたが、ほかにも建物が3棟もあり、広いですね」。2023年4月に東北学院大学は、仙台駅から徒歩15分、地下鉄駅直結の五橋に新キャンパスを開学した。これまで多くの見学客を案内したが、異口同音に語られる言葉である。
創立137年の歴史を持つ東北学院大学は、これまで教養学部・文学部・経済学部・経営学部・法学部の1、2年生のキャンパスがあり、1万1000名の学生のうち、多賀城市に2000人、泉区に5000人、仙台都心の土樋のキャンパスには4000人が学んできた。1万1000人の学生を都心に集約し、通学に時間が費やされる状態を解消するのが、本学の積年の懸案であった。
学校法人東北学院は、創立130周年を迎えた2016年に150周年にむけた中長期計画「TG Grand Vision 150」を策定した。その目玉が、第一期計画に盛り込まれた「東北学院大学キャンパス整備計画」(大学アーバンキャンパス)である。幸いなことに、同年、土樋キャンパスから徒歩8分のところに所在する仙台市立病院跡地(約1.7ヘクタール)の事業者として選定され、計画4年、建設3年に及ぶ月日を経て、都心型ワンキャンパスは日の目を見た。
新キャンパスの目的は、総合大学の面目躍如である文理融合であり、時代の要請、地域の課題解決のための複合領域の推進である。キャンパス統合を契機に、「新しい酒は新しい革袋に」を合言葉に、地域総合学部地域コミュニティ学科・政策デザイン学科、情報学部データサイエンス学科、人間科学部心理行動科学科、国際学部国際教養学科という4学部5学科を設置した。
新キャンパスは4棟の建物から構成されており、地下鉄出口の近くから順にシュネーダー記念館(高層棟)、押川記念館(ホール棟)、講義棟、一番奥が研究棟である。本学三校租の一人である宣教師の名前に由来するシュネーダー記念館は、16階建て、高さ173メートルのランドマークタワーであり、新学部の教員研究室100室と「コラトリエ・ライブラリー」といわれる図書館とアクティブ・ラーニングの施設が入る。「主体的学修」といわれるアクティブ・ラーニングの施設としては、本学は既に土樋キャンパスのホーイ記念館に東日本随一の規模を誇る施設を持つが、その1.5倍の規模である。三校祖の一人である日本人牧師の名前に由来する押川記念館は、1階部分が学食、2階から上は、1000人収容の多目的ホールである。音響効果抜群のホールでは毎朝大学礼拝が行われ、フランス・アルフレットケルン社製のパイプオルガンを泉キャンパス礼拝堂から移設した。先日「こけら落としコンサート」が、仙台フィルハーモニー管弦楽団の共演のもとに開催され、地下鉄直結ホールの威力を発揮した。講義棟は、混雑時の渋滞を緩和するために1階から7階までを結ぶエスカレーターが常時稼働している。研究棟には工学部がコンパクトに収容され、教員研究室には、ラボラトリである実験施設が付設され、24時間の利用が可能である。
4棟の建物を結び付けるのが「TGUリング」といわれる2階部分の回遊路(ペデストリアンデッキ)であり、冒頭で述べたように、一棟建ての高層キャンパスというアーバンキャンパスのイメージを払拭し、新キャンパスに一体感を与えている。東北学院大学は地域に根差した大学として、地域貢献を掲げているが、その理想を体現するのがシュネーダー記念館1階の地域連携センター「未来の扉」であり、そこが窓口となり、地域との連携、そして課題解決に大学が用いられている。学食、カフェ、本屋、コンビニは地域住民も利用可能であり、新キャンパスは文字通り地域に開かれた新世紀のキャンパスといえよう。
(文/大西晴樹 東北学院院長・学長)
シュネーダー記念館
キャンパス統合図
五橋新キャンパス全体図(パース)
講義棟
押川記念館
研究棟
押川記念ホール
TGUリング(各棟の2階部分が回遊路で結ばれている)
コラトリエ・ライブラリー
大講義室
未来の扉センター
工学部実験室(EMC電波暗室)
五橋新キャンパス夜景
シュネーダー記念館クリスマスツリー
(2022年12月19日~25日)
【印刷用記事】
新世紀のキャンパス 五橋キャンパス/東北学院大学