【専門職】豊富なビジネス体験で培われるコンピテンシーが企業から評価/情報経営イノベーション専門職大学

情報経営イノベーション専門職大学キャンパス


POINT
  • 70年を超える歴史を持つ日本電子専門学校を運営する学校法人電子学園により、2020年4月に開学した専門職大学
  • 情報経営イノベーション学部 情報経営イノベーション学科(定員200名)の1学部1学科で構成
  • 2024年3月に卒業した1期生の進路の内訳は、就職8割、進学1割、起業1割。ビジネス体験の機会を豊富に設けた教育課程によって培われたコンピテンシーが企業から評価を得た

「変化を楽しみ、自ら学び、革新を創造する」を教育理念とし、2020年4月に開学した情報経営イノベーション専門職大学(愛称「iU(あいゆー)」)。2024年3月に1期生の卒業を迎えた同大学の4年間の成果について、副学長の古賀稔邦氏と宮島徹雄氏に伺った。


情報経営イノベーション専門職大学 副学長 古賀稔邦氏、副学長 宮島徹雄氏

人と協働して物事に取り組む力が培われている

 情報経営イノベーション専門職大学(以下、iU)では、育成する人材像を「経営と情報通信技術に関する理論と実践力、国際的なコミュニケーション能力、これらを組み合わせた応用力を主体的に身につけ、国際社会と地域社会でイノベーションを起こす人材」とし、学生は、「ビジネス」「ICT」「グローバルコミュニケーション」の3つを大きな柱として学ぶ。そして、これらの理論・知識を手段とし、4年間必修の科目「イノベーションプロジェクト」で起業へのチャレンジを行う等して、イノベーションを起こす力を養っている。

 2024年3月に卒業した1期生の進路は、およそ、就職8割、進学1割(国内大学院等)、起業1割に分かれる。就職希望者における就職内定率は95%超で、連携・実習先内定率は19.29%(2023年12月31日時点)。内定先は東証プライム上場企業を始めとした民間企業から官公庁、一般社団法人まで、業種・規模ともに幅広く(図1)、「様々な志向を持つ学生が入学してくる本学の多様性を表していると思います」と宮島氏は話す。内定先企業からは、「ビジネス感覚がずば抜けている」等の評価を得たという。


図1 1期生 業種別就職内定先(2024年2月現在)
図1


 こうした企業からの評価の要因、そして、4年間の教育成果として言えることとして古賀氏が挙げたのが、対人基礎力を始めとしたコンピテンシーの伸びだ。株式会社リアセックが実施する社会で求められる汎用的能力を測定するアセスメントテスト「PROG」の「対人基礎力(親和力、協働力、統率力)」「対自己基礎力(感情制御力、自信創出力、行動持続力)」「対課題基礎力(課題発見力、計画立案力、実践力)」の各項目において、3年次の臨地実務実習を終えた後に測定したiU1期生のスコアは、同じテストを受けた国公立大学3年生及び専門学校3年生のスコアを上回る結果となった(図2。実線で結んだ点がiU1期生のスコア)。


図2 PROGスコア


 この結果を古賀氏は、「臨地実務実習を始め、イノベーションプロジェクトのグループワーク、起業といったビジネス体験によってこれらのコンピテンシーが身についたとわれわれは認識しています。起業するにしても、就職するにしても、一人ではなく人と一緒に仕事をしていくもの。だからこそ、企業にもこれらの点を評価してもらえたのだと思います」と話す。

 そして次のようにも続けた。「本学は学力的な評価が定まっていないため、学生の入学時点での学力の幅も広く、リテラシー的な学力に関して一概に『こうだ』と言えません。また、知識・スキル面では、われわれの教育の柱である、ビジネス、ICT、グローバルコミュニケーションの各分野において優れた学生が育っていますが、それぞれに長けている面が異なるため、全体的な傾向は表現しにくい。となったときに、何がわれわれの学修成果と言えるかというと、人と一緒に何かをする能力が高いというコンピテンシーの部分だと思っています」。

将来の起業を見据えた進路を選択する学生も

 iUは、中村伊知哉学長が「就職率0%、起業100%を目指す」を掲げ、4年間必修で起業に必要な知識・スキルを学び、起業にチャレンジする科目「イノベーションプロジェクト」を始め、様々な制度を整え、学生の起業を支援している。1期生においては約3割が起業し、最終的には約1割が卒業後も起業した会社を経営していくとのことだ。

 この結果について宮島氏は、「想定の範囲。起業はあくまで手段であって、いったん組織に入って勉強することも大切です。『今やっているビジネスは困難があるので、一度やりたいことを見つけるために就職します』と話す学生は多く、5年後、10年後にまた起業する卒業生が多く出てくるのではないかと思っています」と話す。

 古賀氏も、「われわれが育成しようとしているのはイノベーターですから、起業してイノベーションを起こす人だけでなく、企業や団体に入ってイノベーションを起こす人も想定しています。もちろん、起業した会社を継続する学生はもっと増えていってもいいと思いますが、イノベーターになって頂くことが一番です」と続ける。

臨地実務実習で学生が大きく成長

 学生のコンピテンシーを伸ばし、ビジネス感覚を鍛える大きな機会となっているのが、3年次に取り組む臨地実務実習だ。専門職大学設置基準では600時間以上と定められているが、iUでは640時間に設定。3年次の6~7月に企業でシステム開発や保守に関わる業務等を担当する実習を、10~11月にICTを使った新規提案や企画業務等を担当する実習を320時間ずつ行う。

 1期生に対して毎学期行った成長実感に関する自己評価アンケートでは、「とても成長できた」「成長できた」のいずれかを回答した学生の割合が2年次までは4~5割程度だったが、臨地実務実習を経た3年前期は約8割、後期は9割近くに上った。「臨地実務実習で大きく成長することを認識した」と古賀氏は振り返る。

 こうした成果について、古賀氏は「1期生が、われわれが思った以上に様々なことに活発に、果敢に取り組んでいた。新しく始まる大学の1期生になるということでモチベーションの高い学生が集まったうえに、イノベーションプロジェクトも、臨地実務実習も脱落せずに能動的に取り組む等、うまくわれわれの教育課程に乗ってくれた。彼らと一緒に大学を作ってきた実感がある」と話す。

2025年からの新教育課程では「プロジェクトファースト」を推進

 今後は、イノベーションプロジェクトや臨地実務実習等良いものは維持しながら、課題となる点を改善し、2025年度より新カリキュラムを導入する計画だ。主な改善点は、科目選択の自由度を高めることと、科目間の内容の重複の解消だという。加えて、これまで学生が任意で行ってきた連携企業とのプロジェクトへの参加を、単位認定していく方針だ。古賀氏は、「教育課程と並行してリアルなプロジェクトに加わって学び、成長していく『プロジェクトファースト』を学長が理想の教育像としています。このプロジェクトファーストを全面的に行うべく、学生の取り組みをしっかりと単位として認めていきます」と今後を見据える。

 「ビジネスの世界で活躍している1000人超の人達が客員教授としてイノベーションプロジェクトを始め各科目やバーチャル研究室等で学生を指導し、学生は、客員教授達の指導に耐えうるだけの基本的知識を教育課程で得ている。そういった総合的な環境ができつつある」と古賀氏。「10年後くらいには、卒業生の何人かがすごく活躍していたり、起業した会社を上場させたりするのではないかという手応えを感じています」と話す。宮島氏も「上場を目指して起業している学生もいるので、遠くない未来に上場社長が出てくると思います」と期待する。


(文/浅田夕香)