【専門職】ファッション・ビジネスの専門的な知識・技術が即戦力として評価/国際ファッション専門職大学

国際ファッション専門職大学

POINT
  • 1966年創立、50年以上の歴史を持つ専門学校・モード学園を運営する学校法人日本教育財団により2019年4月に開学
  • 「『クリエイション』と『ビジネス』で世界に変革をもたらす人を育てる大学」を標榜し、国際ファッション学部1学部の中に、ファッションクリエイション学科(定員80名・東京)、ファッションビジネス学科(定員38名・東京)、大阪ファッションクリエイション・ビジネス学科(定員38名)、名古屋ファッションクリエイション・ビジネス学科(定員38名)の3キャンパス4学科を展開(3キャンパスはいずれも駅前の好立地)
  • 1期生(2023年3月卒業)、2期生(2024年3月卒業)共に就職希望者の就職率は100%。1期生においては約6割がファッション企業、約4割がライフスタイル・メディア・デジタル関連企業に就職。2期生もその比率は大きく変わらないが、より幅広い業界に挑戦し、就職先の業種の数は1期生の倍以上に。理念とする「服の、先へ。」を体現する結果に

 「服の、先へ。」という理念のもと、グローバルな「ファッション」「ビジネス」の領域で課題を解決し、変革をもたらす人材の育成に取り組む国際ファッション専門職大学。2023年春に1期生が、2024年春には2期生が卒業を迎えた。同大学の5年間の成果について、近藤誠一学長と、キャリアサポートセンター・根岸美絵氏に伺った。

国際ファッション専門職大学 学長 近藤誠一氏(元文化庁長官)

「ファッション」に限らない、幅広い業種に就職

 同大学は、国際ファッション学部1学部の中に、ファッションクリエイション学科、ファッションビジネス学科(以上、東京キャンパス)、大阪ファッションクリエイション・ビジネス学科(大阪キャンパス)、名古屋ファッションクリエイション・ビジネス学科(名古屋キャンパス)の3キャンパス4学科を展開。それぞれ、国際社会で通用する教養と、ファッションやビジネスに関する専門的な知識・技術、現場で通用する実践力を身につけ、ファッションやビジネスの領域における課題を解決し変革をもたらす、即ち、「服の、先」にあるものを生み出すことのできるプロフェッショナルの育成に取り組んでいる。

 2024年3月に卒業した2期生193名の進路は、約7割が就職、約3割が起業や在学時からの事業を継続、海外留学等であった(図1)。就職希望者の就職率は、1期生に続き2期生も100%で、約65%がファッション企業に、約35%がライフスタイル・メディア・デジタル関連企業に就職。職種の内訳は総合職が8割弱で、デザイナーやパタンナー、生産管理等の専門職は2割弱であることも特徴の一つと言える。


図1 2期生の進路内訳(2024年3月時点)
図1 2期生の進路内訳(2024年3月時点)


 1期生と2期生とでこれらの比率に大きな変化はないが、一つ、「大きく違いが出た」と根岸氏が話すのが、2期生の就職先の業種の幅広さだ。ファッション企業以外では、広告・PR、コンサルティング、インフラ、IT、人材、金融等、業種の数が1期生の倍以上に広がったという。この変化について近藤氏は「狭い意味のファッションに特化した就職先を念頭に置いた教育を行うのではなく、ファッションに関する専門的な知識・技術と教養の両方を備えた人材を育てるという理念がより浸透してきたことで、ファッション領域にとどまらず、隣接分野をはじめ様々な分野に自然と目が向くようになった結果だと思います」と話す。

 また、大学として目指している「国際社会に通用する人材の育成」を体現する形で、海外就職を実現した学生もいる。「コロナ禍にあった1期生では叶わなかった、全員必修の海外実習の機会を2期生には積極的に提供できたこともあって、海外就職という結果を残してくれた。目指すべき形に近づくことができました」と根岸氏は話す。

知識・技術・経験等の面から即戦力として評価

 企業から評価されているのは、豊富な実習等による即戦力としての力だ。「アパレル関連業界に内定した学生は、既に基礎知識が備わっていることや、3年次の臨地実習等の経験から業務の飲み込みが早い点に、他業界に内定した学生は、マーケティングや企画、プレゼンテーション等のビジネススキルや、グラフィックスキルが備わっている点に評価を頂いています」と根岸氏。「専門学校とは異なり、ファッションのみならずファッションを取り巻く環境等も含めて広い視野で考えられる人材であると期待してくださる企業も多いと感じます」と続ける。実際に入社後、企業から「なぜその商品やサービスを作ったのか、時代の潮流等も含めて説得力を持って背景を説明できるのでさすがだと思った」との言葉をもらった卒業生もいるという。

 学生は、こうしたファッションやビジネスに関する専門性と、教養を有機的に統合し、課題解決や新しい価値創出に繋げていく経験を、カリキュラムの中で多くトレーニングしていく。例えば、大手アパレル企業と連携して毎年実施されているビジネスアイデアコンテストでは、ファッションビジネス学科とファッションクリエイション学科が混成で3〜4名のグループを組み、企業の課題に応えるビジネスアイデアを考え出し、競い合う。「日頃から企画書作成や市場分析を様々な科目で繰り返し行っているファッションビジネス学科の学生がマーケティングによる分析を行い、絵を描けるファッションクリエイション学科の学生がそれを踏まえてデザインをし、協働してものづくりをする」(根岸氏)という、ビジネスの現場と環境を同じくした取り組みだ。

 「勝ち残る学生たちは皆、社会のありようや市場・ターゲットの特徴、企業の強み・弱みを十分に分析し、説得力のある商品やサービスを提案しています。企業からも、『新入社員からは出てこないような知恵や発想が出てきた。自由な発想であると同時に、ファッションの潮流を理解し、企業について入念に研究したアイデアが多い』といった評価を頂きます」と近藤氏。まさに、開学時に描いた設置趣旨、「専門性と教養を統合してコンセプトメイクする力」が発揮されている証左でもある。

 ビジネスにおける教養の重要性を鑑み、同大学では主に展開科目等において、文化人類学や社会学、法律学、経済学等の幅広い教養科目が設けられている。また、600時間の臨地実習の一貫として繊維産地でのフィールドワークを設けていることも、「人間とは何か、自然とは何か、歴史とは何かについて体験から学ぶ、ある種の教養としての体験で、必ず仕事に生きてくる」と近藤氏は話す。そして、次のように続ける。

 「教養的なものを学んでいればいるほど、所属組織や目の前の仕事の目的・背景を理解して働くことができ、応用も利きます。そして、問題が起こったり、災害等危機的な状況が起こったりしたときにも、近視眼的にならず俯瞰して過去の歴史や人間の特徴を踏まえて対応することができる。それは、経営者をはじめ、立場が上がれば上がるほど必要になる考え方です。本学では、様々な学問の『人間とはどういうものか』『社会はこれからどうなっていくのか』という根源的なテーマを扱うことで、学生は少なくとも各分野の入口を知り、予測不能なこの時代に何か起こった際に立ち戻るべきところ立ち戻ったり、必要な対処ができたりすると考えます」(近藤氏)。こうした専門性と教養の立体的な修得が、就職キャリアの成果として現れていると言えそうだ。


図2 臨地実習にて世界三大毛織物産地の一つといわれる「尾州産地」(愛知・岐阜)を訪問
図2 臨地実習にて世界三大毛織物産地の一つといわれる「尾州産地」(愛知・岐阜)を訪問


産学連携、社会人の入学を推進していく

 「引き続き、ファッション・ビジネスに関する深い専門知識と、国際社会で通用する幅広い教養やコミュニケーション力をバランスよく培う教育を行っていきたい」と話す近藤氏。既に大手企業等と連携し実施しているが、今後さらに機会を増やしていきたいと考えているのは、産学連携である。近藤氏は、先述したビジネスプランコンテストも含めて、「産学連携は企業が直面するリアルな課題や人材ニーズについて知り、学生がそれらに応えられるよう学ぶ絶好の機会になります」と話す。

 加えて、期待を寄せるのが社会人の入学だ。「本学の教育は、働く中で様々な問題に直面したり、行き詰まりを感じていたりする人たちが気づきを得るきっかけとなれるものだと思います。ぜひ歓迎したい」と近藤氏。「先の見えない世界でも生き抜ける人を育成していくのがわれわれの使命。専門分野と教養の両方を持ち、予測できない事態に直面した際に自身の強みをどのように生かして生き抜くのか、あるいは、仲間と一緒にどのように切り抜けるのかを考えられる人間力が培われた人を育てていくことに貢献できれば」とこれからの教育を見通している。


(文/浅田夕香)